岡力の「のぞき見雑記帳」

両チームが泣いた夏の記憶 2019・舞洲

2020年8月3日
試合終了後、歓喜に沸く金光大阪高校の選手たち

 新型コロナウイルス感染拡大により、今夏に予定していた全国高校野球選手権大会が中止になった。高校球児にとっては幼少期から目指してきた夢舞台。未知の感染症に対してやり場のない気持ちが込み上げる。

 毎年、私の夏は大阪府の予選からスタートする。母校である金光大阪高校の硬式野球部は日本一の激戦区で春・夏合わせて3度、甲子園の土を踏んでいる。期間中は、仕事の合間に豊中ローズ球場へ足を運ぶ日々が続く。勝利を重ねる度、上位決戦の場となる「舞洲」が迫り気持ちが高ぶる。昨夏も順当に勝ち上がり迎えた準々決勝は球史に残る死闘となった。

 相手は王者・大阪桐蔭高校。2007年の大阪大会決勝では中田翔選手(現北海道日本ハムファイターズ)を封じ込め悲願の優勝を果たした。しかし15年以降は3度にわたり行く手を阻まれてきた。18年の準々決勝では「銀河系軍団」と称され、同年のドラフト会議で4人のプロを輩出した最強チームを2―1と追い詰めながらも惜敗した。その後、大阪桐蔭高校は甲子園で優勝し春夏連覇を成し遂げた。

 いつにも増して猛暑の中、互いに譲らずゲームは平行線をたどる。7回に先制されたが9回の土壇場で追いつき延長戦へ。14回表の攻撃で大阪桐蔭がタイブレークで2得点した。万事休すと思われたが、裏の攻撃で無死満塁から連続押し出しで同点となる。さらに一死満塁からボールに食らいつきスクイズを決めサヨナラ勝ち。サイレンと惜しみない拍手が鳴り響くグラウンドで両チームの選手が泣いていた。

 決勝戦は、16年と同カードになる履正社高校だった。しかし投打に勝る相手のペースに飲み込まれ敗退。あと一歩及ばず甲子園出場は夢に終わった。あの夏、「筋書きのないドラマ」を目の当たりにした。来年は、大勢の観衆が埋め尽くすスタンドで、グラウンドの選手たちと共に一喜一憂したい。

(コラムニスト)


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