岡力の「のぞき見雑記帳」

池田市の造園会社で地元の高校生が課外授業

2021年12月20日

伝統の知恵と技を継承

ギャラリーで展示の説明を受ける園芸高校の生徒ら

 やまやまに囲まれ古くから植木産業で発展を遂げる大阪府池田市。この地の出身者に独自の視点でさまざまな空間を切り開いた造園家・荒木芳邦がいる。1948年『荒木造園設計事務所』を設立。唯一無二の発想で『大阪万博松下館庭園』『リーガロイヤルホテル中庭』『サントリー本社屋上庭園』を手掛け、関西を起点にアメリカ、ドイツ、キューバなど世界で活躍した。

 97年没後は従業員がその意志を受け継ぎ、日夜、大地と向き合いながら仕事に励んでいる。また2014年には会社敷地内にギャラリーとカフェを併設した複合施設『GULI GULI』をオープン。伝統と革新を重んじながら、常に未来を見据えた事業を展開している。

 先日、同ギャラリーで開催された『造園家 荒木芳邦 生誕100年展』(12月2〜6日)の初日には、母校である大阪府立園芸高校の学生が課外授業の一環で訪れ花を添えた。功績をたどる展示を見学後、インテリアとして人気の高い「苔(コケ)玉づくり」のワークショップを実施。その様子を真剣なまなざしで眺める設計部の鍛治貴夫さんにお話を伺った。「先代の作品にはおちゃめな演出と遊び心がありました。普段は厳しい人でしたが(笑)…」と振り返る。

 時代の流れと共に変化する造園業界。コスト、材料、規模の問題で得意とする個性が失われつつあるのが現状だ。そんな中、同社が研究に力を注いでいるのが『エコ・プラント』。既に『NASA』でも開発が進められており、ホルムアルデヒドなどの有害物質除去や室温を保つことができる鑑賞用植物を各家庭に提供するのが狙いだ。

 商品化に向け生徒に意見を求めたところ「理解を深める啓発活動」「家具店とのコラボ」「必要とされる方へのサンプリング」といったアイデアが次々と飛び出した。産学連携で実現した土と樹々から成る“緑の教室”で、可能性を秘めた人材が着実に育とうとしている。

(コラムニスト)
 ■荒木造園設計ホームページ
 https://www.arakizouensekkei.com/


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