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ユーモアたっぷりの鏡広告を説明する勝五郎さん |
ここ最近、「イノベーション」という言葉を耳にする。今更、人に聞けないので調べてみると「物事の仕組みに新たな考え方を取り入れ、新たな価値を生む」とあった。「そういう意味か!」と納得していたら以前、本紙で取材した此花区の「千鳥温泉」から連絡があった。
店主の勝五郎さんは神戸大学卒業後、リクルートのグループ企業、旅行会社を経て2017年に経営を引き継いだ異色の経歴を持つ。かつては大阪府内に約2千軒あった銭湯も現在は約300軒と減少傾向にある。そんな中、日本初となるスポーツ自転車の店内保管、子どもを対象に駄菓子の当たるくじ引き、脱衣場をライブハウスに見立てミュージシャンを招くなど新しい試みに挑戦した。さらには「風呂掃除10回で入り放題」というユニークな人材募集をするなど唯一無二の企画で注目を集めている。
最近、新たな取り組みとして話題を呼んでいるのが「鏡広告」だ。全盛期は、「浴場広告」も地域メディアとして確立していた。現在も専門に扱う代理店はいくつか存在する。しかし広告価値としては低迷している。「引き継いだ際、既につぶれたテーラーや広告募集の鏡がガサガサに劣化した状態で並んでいました」。この手描き広告の魅力に着目しSNSで募集を呼びかけたところ40枚あるスペースは完売。はやりのユーチューバーから彼氏彼女募集まで新しい絵面がずらりと軒を連ねる。表記も住所や電話番号だけでなくウェブの検索窓というのも今風だ。そしてスポンサー自らSNSで拡散することから、その影響力も計り知れない。
気になる価格は半年で2万6千円程度。お役目を終えると鏡を持ち帰ることもできる。「貝塚市に住む職人が丁寧に仕上げています。PRと言うよりかは行為に興味を持つ方が多いです」と笑う勝五郎さん。柔軟な発想で浴場に新たな息吹を吹き込んでいる。
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