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vol126環境保全型農業の実践 開かれた農業セクターの可能性 2019/04/25
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vol115市民、企業、行政代表鼎談 2018/01/29
 
vol.119雑草が生えない有機米栽培 県農試が実証


2018.6.28
 
 人や自然に優しい有機農業の拡大が求められる中、鳥取県農業試験場(鳥取市橋本)の有機・特別栽培研究室は、無除草で有機米栽培を可能にする画期的な技術を実証した。イトミミズが形成する水田のトロトロ層が、雑草を抑制するという。化学肥料や農薬を使わなくても手軽に取り組める有機稲作技術として、実用化が期待される。

イトイミズが形成 トロトロ層 「誰でも手軽にできる」

「イトミミズが形成するトロトロ層の効果で雑草が生えていない」と説明する宮本主任研究員(手前)と前田室長=6月21日、鳥取市橋本の県農試の有機米試験農場

「魔法のよう」

 「まるで魔法のようだ」。6月中旬、県農試の有機米試験農場を見学に訪れた農業関係者が感嘆の声を上げた。除草作業をしていないのに、雑草が1本も見当たらないからだ。

 6月初めに移植された苗は雑草の影響を受けずに、すくすくと成長する。稲の分けつも順調で、豊作を予想させる。

 同研究室の宮本雅之主任研究員がこう説明する。「雑草がない謎を解く鍵は、トロトロ層の土壌にある。イトミミズが田面に形成する細かい粒子の集合した膨軟な層をトロトロ層と言い、この土壌が効果を発揮する」

 水田の中は土壌が軟らかく、足がぬるりと入っていく。あちこちに赤っぽいイトミミズの群落も見える。驚くような数が生息しているという。

最大の敵は雑草

 水稲の有機栽培にとって最大の敵は雑草害。ヒエやホタルイ、コナギなどの雑草が大量に発生し、稲の生育に悪影響を及ぼす。機械除草などの対策も限界があり、収量は農薬を使った慣行栽培に比べて少なくなる。

 ところが、「トロトロ層の田んぼになると雑草が少ない」「トロトロ層が分厚く形成されていると、微生物が豊富に生息していて生育が良い」といった話が有機栽培の篤農家の間で広まっており、同研究室は2015年から、有機栽培の技術開発の目玉として「トロトロ層」の解明に取り組んでいる。

 着目したのは、トロトロ層の中に見られる体長5センチほどのイトミミズ。過去の研究例などから、イトミミズの土中での働きを調査。土中で自分の体より小さい粒子の土を食べて、混ざっている有機物を分解し、「ふん」として排出することで、上層に小粒子で構成されるトロトロ層を形成することを確認した。

 このため、表層の雑草の種子が深部に埋没して発芽が抑制されるとともに、土壌が柔らかいため草が生えても除草がしやすくなるという。雑草抑制とともに、イトミミズがイネの成長に抜群の効果をもたらすことも分かった。

早期湛水の水田。イトミミズの生息数が多い=昨年6月22日
慣行入水の水田。イトミミズの生息数が少ない=昨年6月22日

早期湛水が鍵

 イトミミズをどうすれば増やすことができるのか−。宮本主任研究員は「ポイントは早期湛水(たんすい)。田に早く水を入れればイトミミズの生息数が年々増加し、トロトロ層が厚く形成される」と説明する。

 同農場では昨年、3月の湛水で雑草がほとんど生えなかった。研究によると、イトミミズの生息数は6月に入って爆発的に増殖。1平方メートル当たりの生息数は、7月初めに慣行入水が約5千匹なのに比べて、約8万匹にも上った。

 同研究室は今年、トロトロ層の形成速度が雑草量に及ぼす影響などについてさらに詳しく調査。実用化に向けた研究を加速させる。

見学受け付け

 鳥取県は有機・特別栽培の面積を18年度末までに1500ヘクタールに増やす計画を掲げている。現在、約1475ヘクタールで、目標はほぼ達成している。ただ、有機栽培の面積は約60ヘクタールで、特別栽培から有機栽培への移行件数や面積・取り組み団体数が伸び悩んでいる。

 宮本主任研究員は「一般的に有機栽培は手間がかかると言われるが、イトミミズによるトロトロ層の形成を進めれば、除草要らずで、誰でもどこでも手軽に有機米栽培に取り組むことができる」と自信を示し、前田英博室長は「“トロトロ層農法”で、有機米栽培にチャレンジする農家を大きく増やしたい」と意欲を燃やす。

 県農試は有機米試験農場を公開しており、広く見学を呼び掛けている。

地球温暖化はいま

【気候変動適応法が成立】
被害軽減対策を推進 適応ビジネスで活性化

 今月初め、「気候変動適応法」が成立しました。この法律は、地球温暖化による被害や災害などを軽減するための対策を推進するためのものです。

 地球温暖化は存在し、進行しているという前提に基づくこの新法を根拠とし、政府が「気候変動適応計画」を作成し、計画内容は5年ごとに環境相が評価することとなっています。また、都道府県および市町村は、気候変動適応計画を勘案して、地域気候変動適応計画の策定に努めることになりました。

 気候変動の影響は、私たちの暮らしのさまざまなところに既に現れています。気温上昇による農作物への影響や、過去の観測を上回るような短時間強雨、台風の大型化などによる自然災害、熱中症搬送者数の増加といった健康への影響などメディアで報じない日はない現状です。

 「緩和策」と呼ばれる、温室効果ガスの排出量を減らす努力、いわゆる地球温暖化防止対策などに加えて、これからの時代は、このようにすでに起こりつつある気候変動の影響への「適応策」も同時に施していくことが重要になってきます。

 鳥取県で言えば、高温に強い米や梨への品種改良や栽培方法の開発、リスクが増大している土砂災害などの気象災害から命を守るためのハザードマップの普及、高齢化に伴うヒートショックや熱中症による死亡・要介護者を増やさないための住宅断熱化、万が一の災害にも強い自立した食料自給地域・エネルギー自給地域づくりなどが挙げられます。

 2018年に発生可能性の高いグローバルリスクのうち、「異常気象」が1位、「巨大自然災害」が2位、「気候変動緩和・適応への失敗」が5位となっていて、持続可能性を阻む喫緊の課題でもあります。

 ただ、このリスクを脅威と捉えるだけでなく、適応ビジネスとして地域経済の活性化に即効するチャンスと捉える視点も重要です。行政・事業者・学術機関・地域住民が一丸となって強力に推進することが今こそ求められています。

 (鳥取県地球温暖化防止活動推進センター 山本ルリコ)

トップが語る環境問題

廃棄物を食品還元

有限会社 赤碕清掃
(琴浦町赤碕)
代表取締役 岡ア 博紀

 回収した食品残さとチップを混ぜて発酵させた自家製の有機肥料を使ってヒマワリを育てています。このヒマワリの種を搾って食用油を作ることに成功しました。サラサラで風味もよく、大好評でした。食品ロスで発生した大量の残さを、一部ですが、食品に還元することに成功したと思っています。

 このように、廃棄物が食品に生まれ変わる循環サイクルを、地元琴浦で展開していくことを経営ビジョンの一つに据えています。そこに高齢者の方、障がいのある方への雇用が生まれてくれば。ぜひ実現させるべく、今年もヒマワリを育てています。


行政や地域と連携

鳥取県生活協同組合
(鳥取市河原町布袋)
代表理事専務 井上 約

 鳥取県生協は、商品カタログや卵・牛乳パックなどの回収を促進しつつ、それらの資源をもとに製造されたトイレットペーパーなどの利用普及を通じたリサイクル活動に取り組んでいます。また、エシカル消費の観点から、森林や水産資源等に配慮した商品の普及や、商品代金の一部を沖縄のサンゴ礁保全のために活用する基金、その他、「とっとり共生の森、共生の里」など、行政や地域の方と連携した活動も進めています。

 今後も、2030年に向けて世界が合意した「持続可能な開発目標(SDGs)」に沿って、継続的にさまざまな視点で取り組んでまいります。



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