
鳥取県をより良くするための広聴活動にまい進するレンジャーの活動を紹介します。

» ちゃかいぶらざあず
【鳥取城北高校】◎藤本海斗(3年)、竹内理貴(3年)、伊奈垣賢(3年)、平福郁煕(3年)、米澤あおば(3年)
» やずレスキュー隊
ICTを活用した雇用の確保
エコ・リバブルシティを目指したまちづくり
【八頭高校】◎山枡陽(2年)、山根舞夕(3年)、上田成華(2年)、杉原愛美(2年)、植木さくら(2年)、岡部星空(2年)

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» 令和新時代創造県民運動(28)とっとり若者広聴レンジャー 若者視点で県に政策提案
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» 魅力感じる県へ高校生らの視点で とっとり若者広聴レンジャー報告会
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» 政策提案の方向性確認 とっとり若者広聴レンジャー 鳥取城北高生ら意見交換
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» 若者流出阻止へ解決案 広聴レンジャー会議で八頭高生 政策提案の方向性確認
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» 令和新時代創造県民運動(20)とっとり若者広聴レンジャー 県政課題解決の糸口探る
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» 高校生が経過報告 とっとり若者広聴レンジャー会議
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» 介護現場と学生どう結ぶ 鳥取城北高生が広聴レンジャー 仮説を立て活動開始
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» 若者流出食い止めろ 八頭高生6人「レスキュー隊」 広聴活動開始、解決策探る
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» 募集 「とっとり若者広聴レンジャー」活動グループ
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» 地域の課題解決策報告 知事に若者広聴レンジャー
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» 政策提案の方向性固まる 若者広聴レンジャー
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» 鳥大生ら18人2期生任命式 県若者広聴レンジャー
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» 「とっとり若者広聴レンジャー」2期生募集
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» 課題解決策知事に提案 若者広聴レンジャー
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» 方言談議で盛り上がる 琴浦で方言再認識イベント
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» 県民の声聴き課題指摘 若者広聴レンジャー活動報告
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» 若者視点で意見交わす 広聴レンジャー会議
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» 5団体を任命、意気込み語る 若者広聴レンジャー

県庁と各学校を結んで行われたオンライン
報告会
ふるさとを住みよい地域にしていこうと、それぞれのテーマを持って広聴し、地域課題の解決策を探っていた八頭高と鳥取城北高の高校生2チームが、鳥取県政への政策提案を若者の視点でまとめ、小林綾子県統轄監に報告した。
県が任命した「とっとり若者広聴レンジャー」として、昨年8月から活動。地域に出向いて行った取材や調査活動、アンケートなどで聴き取った県政に届きにくい住民の声を基に仲間と議論し、課題の解決策を導き出した。
八頭高の生徒6人が取り組んだテーマは「若年層の人口流出を食い止めるために」。大学と人材不足の企業が連携を深め、学生の研修機会を設けて人材を確保する仕組み(キャップストーン)の導入などを盛り込んだ。
鳥取城北高の生徒5人は、学生が介護施設でボランティアとして働く代わりに、その学生へ住居などを提供する仕組みを構築できれば、社会問題となっている介護士不足と学生の貧困を同時に解決できると提案。県が運営することで学生が安心して働ける、とした。
活動を終えた生徒たちは「大勢の人と話すことによって自分自身も成長できた」(八頭高3年、山根舞夕さん)、「初めて取り組んだアンケートを作る作業がいい経験になった」(鳥取城北高3年、竹内理貴さん)などと成果を振り返った。
3会場をインターネットで結んで行われた報告会で、小林統轄監は「若い人の感性や熱い思いがこれからの時代の創造につながると感じた」と述べた。

高校生からテレビ会議システムで政策提案
を受ける小林統轄監(左)=15日、鳥取県庁
若者の視点で地域課題の解決策を鳥取県に提案する「とっとり若者広聴レンジャー」の本年度最後となる政策提案報告会が15日、レンジャーに選ばれた高校生の学校と県庁をインターネットで結んで行われた。
本年度は八頭高と鳥取城北高の2校の生徒が高校生としては初めて参加。八頭高は、現役高校生を対象にした定住・Uターンに関する意識調査を基に、若者が魅力を感じる県内の進学先確保などを提案。鳥取城北高は介護士の人手不足と大学生の貧困問題の同時解決を目指し、介護施設で学生がボランティアとして働く代わりに学生へ住居を提供する仕組みを提案した。
報告を受けた小林綾子統轄監は「若者ならではの着眼点による提案はとても参考になる。いいアイデアを聞けた」と感謝した。
高校生らの政策提案は、実現可能なものから県政に反映させていく。(浜田匡史)

オンラインで県職員と意見交換をする生徒ら
若者の視点で地域の課題を探り解決策を鳥取県に提案する「とっとり若者広聴レンジャー」の第2回会議が21日、オンラインで開かれた。鳥取城北高の生徒が、介護士不足と大学生の経済的問題を同時に解決する方法を提示。県職員と意見交換し、最終提案に向けて内容の方向性を確認した。
同校は3年生の有志5人で「ちゃかいぶらざあず」を結成し活動している。生徒は、介護職員や学生を対象に行ったアンケートの結果を報告。両者を絡めた課題の解決策として、オランダの介護施設「ヒューマニタス」をモデルに、学生が住み込みボランティアとして高齢者と共に過ごす共生施設の設置を提案した。
生徒と県職員は、施設の運営方法について「安心感」をキーワードに議論したほか、学生の負担に考慮した具体的なボランティア内容について意見を交わした。
リーダーの藤本海斗さん(18)は「疑問に対し力強い言葉をもらえたので安心した。最終提案まで皆で協力して取り組みたい」と意気込んだ。同校は政策をまとめて2月に平井伸治知事に提案する予定。(今岡めぐみ)

オンラインで県職員との会議に臨む生徒たち
若者が地域の課題を探り、解決策を鳥取県政に届ける「とっとり若者広聴レンジャー」の第2回会議が22日、オンラインで開かれた。若年層の人口流出の歯止め策を模索する、八頭高(八頭町)の生徒が経過を報告。県の担当職員に課題解決につなげる具体策を示し、提案内容の方向性を確認した。
同校の生徒6人でつくる「やずレスキュー隊」は、これまでに地方自治体や外郭団体の取り組みを調査してきた。この日は、11月に県内7校の高校3年生に行ったアンケートの調査結果を報告した。卒業後、県外へ出たいと答えた人が77・8%いるが、将来は鳥取県に戻りたいと考える人が64・9%いることを踏まえ、生徒は「雇用など条件が整えば、Uターンする若者を増やせるのでは」と考えを述べた。
解決策の案として、若者が魅力を感じる進学先や雇用の確保などを提示した。県の担当職員はアンケートを高く評価。現状の施策や事例を挙げた上で、提案する政策に費用対効果を求める声もあった。同校2年の山枡陽さんは「県の取り組みを具体的に認識することができたので、提案につなげたい」と話した。
同校は政策をまとめて来年2月、知事に提案する予定。(今岡めぐみ)

第1回会議で活動を報告する生徒たち
若者の県政参画を促すため、鳥取県は本年度、「とっとり若者広聴レンジャー」に八頭高と鳥取城北高の高校生2チーム、計11人を任命した。8月の活動開始以降、それぞれがテーマを持って地域に出向き、アンケートや聴き取り調査を実施しており、県政の課題解決の糸口を探っている。
八頭高の生徒6人は、若年層の人口流出を食い止めるための策を、進学などを控える当事者の立場で検討している。これまで地方自治体や外郭団体の現状の対策を調査。今後は、高校生の意識調査を基に若者のニーズを明確化するほか、幅広い世代に意見を聴いて立案につなげたい考えだ。
鳥取城北高の5人は、コロナ禍などで経済的に厳しい環境にある学生と、人手不足に陥る介護施設のマッチングを見据え、大学生へのアンケートや介護施設への聴き取りを実施。学生が住み込みボランティアとして高齢者と過ごすような共生施設が鳥取県で運営できないかなども視野に検討を進めている。
両チームが活動状況を報告した9日の第1回会議には、県庁で関連業務を担当する課の職員も参加し、両チームが年度末にもまとめる政策提案の方向性についてアドバイスした。
県県民参画協働課の西尾麻都子課長は「レンジャー事業初の高校生グループで、これまで以上にフレッシュな、若者らしい提案を期待している」と激励。鳥取城北高3年の伊奈垣賢さんは「自分たちの発想が、県政と絡むことで実現すればうれしいし、貴重な経験にもなる」と話した。

鳥取県職員の助言に耳を傾ける生徒たち
若者の視点で政策立案し、鳥取県政への提案を目指す「とっとり若者広聴レンジャー」の第1回会議が9日、鳥取市内で開かれ、高校生の2チームが約2カ月に及ぶ活動の経過を報告し、意見交換した。
県は本年度、若者流出を食い止める策を探る八頭高(八頭町)の生徒6人、経済的に苦しい学生の手を借りて介護施設の人手不足を解消できないかを探る鳥取城北高(鳥取市)の生徒5人を若者広聴レンジャーに任命している。
両チームの初顔合わせとなったこの日の会議では、8月以降それぞれのテーマで活動する生徒たちが、現状を把握するため、地域に出向いて行ってきた広聴活動の内容やアンケートなどについて説明。県庁で関連業務を担当する職員も出席し、今後の活動の進め方などを助言した。
両チームは年度内に県政への政策提案をまとめ、平井伸治知事に報告する。八頭高2年の山枡陽さんは「高校生の僕たちにしかできないような提案にしたい」と意気込みを語った。(津田一典)

鳥取環境大で活動の趣旨を説明し、大学
側へアンケートの協力を要請するメンバー
鳥取城北高(鳥取市)の生徒5人が、経済的不安を抱える大学生の力を借りて、介護現場の人手不足を解消できないか仮説を立て、広聴活動に乗り出した。地域の声を拾い上げ、若者ならではの発想で立案した政策を県政に届ける鳥取県の「とっとり若者広聴レンジャー」事業の一環。
県内でも深刻化が懸念される介護現場の人手不足に着目し、3年生の有志で「ちゃかいぶらざあず」を結成。介護ボランティアに取り組む苦学生が無料で入居できるオランダの高齢者介護施設をヒントに、「介護士の不足問題と大学生の貧困率」をテーマに掲げ、活動を始めた。
まずは学生の経済事情などを知るため、9月中にも鳥取環境大と鳥取大の学生を対象にウェブ上でのアンケートを開始。介護施設関係者にも話を聞いて問題点を整理し、特にこの時期コロナ禍でアルバイトの機会などが減って収入減に悩む学生と、労働力が必要な介護の現場をどう結び付けていくか、検討していく。
メンバーの一人、藤本海斗さんは「鳥取の社会問題を少しでも改善できるよう、メンバー全員で取り組んでいく」と意気込む。(津田一典)

鳥取市の若者定住対策などを聞き取る生徒たち
若者が地域に出向いて住民らの意見を聴き、政策立案を通して鳥取県政の課題解決につなげる本年度の「とっとり若者広聴レンジャー」事業で、県立八頭高(八頭町)の生徒6人が広聴活動を始めた。「やずレスキュー隊」の名で、若年層の人口流出を食い止める策などを探る。
まずは行政などが取り組む若者定住対策を知るため、生徒たちは7日、鳥取市のふるさと鳥取県定住機構と鳥取市役所を訪れ、担当者に聞き取り。進学先や就職先の確保、IJUターン者への支援策などについて質問した。
鳥取県アプリ「とりふる」やイベントでの情報提供など、IJUターン希望者に対する支援だけでなく、今鳥取にいる若者にそのまま県内に留まってもらえるような取り組みの充実を訴える生徒の意見もあった。夏休み後、県内の高校生にアンケートを行い、課題を明らかにしたい考え。
県県民参画協働課の担当者は「異なる立場、世代など幅広い層の人たちからの意見や思いをくみ取り、今の県に足りていないものや若者の新しい視点からの解決策を探求してほしい」とエールを送った。(津田一典)
鳥取県は、若者が地域に出向いてさまざまな住民の意見を聴き取り、課題を探って政策立案に導くグループ「とっとり若者広聴レンジャー」を募集している。学生や社会人ら今の若者ならではの感覚を県施策に反映する3年目の取り組み。
2グループ(1グループ5人程度)を募集。応募資格は県内在住・在勤・在学者で、40歳未満であること。ヒアリングやアンケートで立案のヒントとなる声を拾い集め、政策をまとめて県政に届ける。
8月上旬の任命式後、活動開始。12月にも成果を発表し、県で次年度以降の施策への反映を検討する。グループへの活動費(上限10万円)を支給する。
応募締め切りは7月8日。問い合わせは電話0857(26)7753、県庁県民参画協働課。

平井知事(左)に地域課題の解決
策を提案する広聴レンジャーたち
=27日、鳥取県庁
若者の視点で地域の課題を探り、解決策を鳥取県政に提案する「とっとり若者広聴レンジャー」が本年度の活動をまとめ、27日、鳥取県庁で平井伸治知事に解決策を報告した。
2年目となる県事業で、大学生ら4団体、18人が参加。6月以降、若者の県内就職や定着、県民がより自然に親しめる仕掛けなど、各団体がテーマに沿って地域住民や関係機関に聞き取りを重ね、解決策を練ってきた。
このうち「ツナガルドボク中国」は学生の県内就業の促進について提案した。県内企業の就職活動応援サイト「とりなび」の認知度は低く、企業説明会など従来型の採用活動だけでは企業を知る機会が少ない現状を指摘。大学1、2年時から企業や社会人と気軽に交流できる場を設け、県内で働く魅力を伝え続けることで、大手企業への優位性の確立につながると示した。
平井知事は「世の中が変わるには殻を破った発想が必要。率直な提案はありがたい。予算編成にも生かしていきたい」と話した。
(中西理恵)

各チームの発表を聞き、意見交換
する参加者=30日、鳥取県庁
若者の視点で地域課題の解決策を鳥取県政に提案する「とっとり若者広聴レンジャー」会議が30日、県庁であった。鳥取大、鳥取環境大、米子高専の学生らによる4チームが取り組み状況を報告。広聴活動を基に練り上げた具体的な事業案を挙げながら、政策提案の方向性を確認した。
6月に活動を開始して以来、2回目の会議。各チームの活動テーマに関わる部署の県職員らも参加し、質疑、助言した。
このうち、若者定住をテーマに活動する「小松と愉快(ゆかい)な仲間たち」は、広聴を通じ「県民は地元企業のことについてあまり認知していないのでは」と考察。地元企業をPRするため、小学生向けのパンフレット作成、地元高校生向けのイベント開催など課題解決のための具体策を披露した。発表を聞いた県ふるさと人口政策課の担当者は「施策の方向性は一致している。どのような提案に仕上がるか楽しみ」と話した。
各チームは11月中にも政策をまとめ、知事に提案する。(津田一典)

高橋統轄監(左)から名刺、手帳など
広聴グッズを受け取る各チームの代表者
=12日、県庁(左)
若者が地域に出向き、県政に届きにくい住民の声を聴き取って政策立案に導く「とっとり若者広聴レンジャー」2期生の任命式が12日、鳥取県庁であった。
今の若者ならではの感覚を施策に反映する県事業。2年目の本年度は鳥取大、鳥取環境大、米子高専から4チーム(計18人)の参加があり、若者の県内就職と定住、豊かな自然を観光客に伝える仕組みづくり、高齢者に優しい社会の実現など、それぞれのテーマを持って活動する。
任命式では、各チームの代表者が県の高橋紀子統轄監から広聴活動に使う名刺、手帳を受け取り、意気込みを発表した。「ツナガルドボク中国」(鳥取大、6人)の宮内芳維さん(23)は、学生と企業間の意識調査などを通じ「県内建設業界の人材確保につながる提案をしたい」と話した。
各チームがまとめた政策は、来年度当初予算への反映を目指し、10月にも知事に報告する予定。(津田一典)

地域住民に聴き取りする広聴レンジ
ャー1期生=昨年9月、智頭町内
鳥取県は25日、若者が地域に出向いて県政に届きにくい住民の意見を聴き取り、政策立案に導く「とっとり若者広聴レンジャー」の2期生(グループ)の募集を始めた。学生や社会人ら今の若者ならではの感覚を県の施策に反映したい考え。
前年度の1期生は5グループが子育てや農業、健康など得意分野を生かせるテーマを掲げて活動。ヒアリングやアンケートで立案のヒントとなる声を拾い集め、政策をまとめて県政に届けた。
2期生の募集は4グループ20人程度。応募資格は県内在住、在勤、在学し、40歳未満であること。グループへの活動費(上限10万円)を支給する。5月下旬の任命式後、活動開始。10月の政策提案を目指す。
応募締め切りは5月13日。問い合わせは電話0857(26)7848、県庁県民課。
地域の解決策を探る鳥取県の「とっとり若者広聴レンジャー」が19日、県庁を訪れ、活動成果を平井伸治知事に報告。親同士が子どもを預かり合う仕組みづくりや情報通信技術を活用した農業支援などを提案した。
若者の県政参画を促そうと県が本年度から実施。20、30代の5チーム21人が、地域活動に参加したり会員制交流サイトで意見を集めたりしてきた。
この日は4チーム12人が参加。母親が一人の時間を持てるよう、商業施設などで子どもを預かり合う試みを実践した「おひさま2525(にこにこ)八頭」は「さらに子育てしやすい環境になるよう活動したい」と報告。鳥取環境大の学生でつくる「生山大學(だいがく)」は「地域や行政と交流するきっかけの場を」と提案した。
平井知事は「皆さんが探り当てたことが鳥取県を変えていく」と述べた。県は提案を政策に反映させていく。
おひさま2525八頭の中村瑠美さん(33)は「あったら良いなという思いを具体的な形にし、実際に需要があることも実感した。定着させていきたい」と話した。(渡辺暁子)

後世に残したい方言を紹介する石川さん
方言の良さを再認識してもらうイベント「方言ナイト」が6日夜、琴浦町内であった。方言ソングを歌う湯梨浜町の石川達之さんが講師を務め、参加者を交えた方言談議で盛り上がった。
地域の声に耳を傾け、地域課題の解決策を県に提案する「とっとり若者広聴レンジャー」として、「鳥取県の方言の再認識」をテーマに活動している大山町出身の男性3人組「1997中山中卒業生」が企画。台風が接近する中、方言に関心のある25人が参加した。
石川さんは「えらい」「めげる」「いけん」「たばこする」など、後世に残したい方言や標準語に置き換えたくない方言についてエピソードトークを繰り広げ、会場の笑いを誘った。歌を披露しながら、会場の参加者とも意見を交わし、方言に誇りを持っていることなどを伝えた。

発表者(右)の報告に耳を傾ける若者広聴
レンジャーのメンバー
若者の視点で県民の声を聴き、地域の課題を把握して解決策の立案につなげるため、鳥取県が任命した「とっとり若者広聴レンジャー」(5チーム21人)の会議が27日、県庁であった。各チームのメンバーが取り組み状況を報告し、政策提案の方向性を確認した。
6月に活動を開始して以来、2回目の会議で、各チームが現段階でまとめた行政課題などを指摘。解決のための具体的な政策を披露するチームもあり、同席した県職員から質疑と助言を受けた。
子育てしやすい環境づくりをテーマに活動する女性3人組は、自由な時間がほしい「子育てママ」の需要があるとして、時間差で順番に子どもを見合う「預かり合い」の必要性をアピールした。
米子高専の学生チームは、ビッグデータなどを活用し、農作物の消費動向を予測する農業担い手支援システムを構築することで「農家の収益を増やし担い手不足を解消したい」と力説した。
政策提案に向け、課題の指摘やヒントになる助言もあった。提案発表会は10月下旬にも開かれる予定。(津田一典)

耕作放棄地の有効活用に向けてアプリを
提案する米子高専の学生(左)
若者視点で広聴活動を行い、地域課題の解決策を提案する「とっとり若者広聴レンジャー」の第1回会議が、米子市の鳥取県西部総合事務所で行われた。6月に任命された5組のうち3組のグループが経過を報告し、意見を交えた。
米子高専電子制御工学科河野研究室は「耕作放棄地の再生・有効活用」をテーマに、増加している耕作放棄地について野菜や芝の生産に取り組む企業や地元農家、行政などを調査。担い手不足の解消や収益の向上に向け、仮想農業体験でたまったポイントに応じて作物などが送られるアプリの開発を提案した。
出席者からは「ゲーム感覚で面白いが、担い手不足の解決にどうつながるのか」などの指摘があった。
このほか、鳥取環境大生や子育てグループが取り組みの経過を発表。提案発表は10月に行われる。(渡部ちぐみ)

広聴活動に使うグッズを受け取った
レンジャーの一員(右)=5日、県庁
地域住民の意見から課題を明らかにし、解決策を探る鳥取県の「とっとり若者広聴レンジャー」の任命式が5日、県庁であり、各グループの代表が意気込みを語った。
若者の県政参画を促し、より幅広い層から意見を聴き取るため、県が本年度初めて事業化した。メンバーは19〜37歳の5グループ21人。活動テーマは、子育てしやすい環境づくりや方言の再認識など。地域活動への参加や会員制交流サイトを通して意見を集め、10月に提案をまとめる。
任命式で平井伸治知事は「やるべきものが見え、実際に世の中の役に立っているときにとても充実感がある」と協力を要請。レンジャーのロゴマークが入った名刺、バッジ、メモ帳など「取材グッズ」を手渡した。
米子高専電子制御工学科の学生らのグループは弓浜半島の耕作放棄地解消に向け、土地所有者と農業参入に意欲がある企業を仲介するアプリの開発に取り組む。代表で5年の梶本淳さん(19)は「土地を画像で紹介し、メールで簡単にコミュニケーションを取る手助けができれば」と話した。(今岡浩明)


新年度、メンバー募集へ 地域の声生かし鳥取活性

名刺を渡し、住民の思いを聴き取る学生たち=昨年9月、智頭町内
「聴き取った地域の声を県政にどう生かしていくか」。20〜30代の学生、社会人が本年度、「広聴レンジャー」となって本気で考え、時には高い壁に直面しながら、自分たちの考えをまとめ、知事に提案した。その中で県政を活性化する若者の感性、行動力の片りんも見えた。4月以降、新メンバーを募る準備が進む。
■きらりと光る提案も
県政に対するニーズは多様化している。「実際の声を地域で聴き、今の若者ならではの感覚を政策に取り入れていきたい」。広聴レンジャーを任命した県の狙いはそこだった。
5チームが学業、仕事の傍ら、農業、子育て、健康づくりなどさまざまなテーマを掲げ、それぞれのペースで活動した。
地域でヒアリング、アンケートを行い、聴取した意見を基に政策を立案。内容は県の各担当課で精査され、中には既存事業に組み込まれた即戦力となる提案も見受けられた。一方、県政がこれまで踏み込んでいなかった領域の提案については「『事業化につなげにくい』で終わらせない何かが必要」との議論もあった。
■意欲ある若者歓迎
県は来年度も事業を継続する方針で、2期生の募集を検討。次年度の施策反映を想定した提案時期の前倒しや提案熟度の向上を目指すなど事業を一歩前進させたい考えだ。
「地域のニーズを丹念に掘り起こし、政策提案したこの経験は、社会人、企業人になった将来生きてくると思う」。本年度活動した学生たちから、こんな声も伝わってきた。
中西朱実県民課長は「身の回りや地域の困りごと、意見を県政に届ける、そんな活動に意欲ある若者を歓迎したい。これからの鳥取県を一緒に盛り上げていこう」と呼び掛ける。
新しい広聴の手法確立へ、挑戦は続く。(おわり)
過去の連載を読む県政へ政策提案 技術と知恵随所に

平井知事(左)に政策の内容を報告したとっとり若者広聴レンジャー
のメンバー=11月19日、県庁
住民からさまざまな意見を聴き出して地域課題を探り、若者目線で解決策を立案していた5チーム(21人)それぞれが、県政への政策提案をまとめた。
■技術、知恵反映
子育てや農業、健康など各チームは6月以降、得意分野を生かせるテーマを掲げて活動を開始。地域に出てヒアリングやアンケートを行い、立案のヒントとなる声を拾い集めた。
学生が地域活動しやすい環境づくりをテーマに取り組んだ、鳥取環境大のチームは「堅苦しくない雰囲気で、自然な生の声を引き出すことに苦労した」(沢田雄太さん)と取材活動を振り返った。
ママ友同士が子どもを見合う「預かり合いコミュニティ」の実現やICT(情報通信技術)活用のスマート農業推進など、各チームの提案には未来を担う世代の技術、実体験に基づく知恵が随所に盛り込まれた。
■紆余曲折も
米子高専のチームは、ドローンで農作物の生育環境をモニタリングし、人工知能を用いた病害虫被害の早期発見につながる仕組みを提案。実用化による農業支援を目指す。
リーダーの梶本淳さん(19)は「農業の知識がなく、紆余(うよ)曲折もあったが、最終的には農業の効率化に絞った」と説明。今後、地元農業法人との共同研究も視野にあり、「学校で学んだICTを社会にどう生かせるか、実践に近い経験ができた」と強調した。
平井伸治知事への提案報告会は鳥取県庁で11月19日にあった。各チームの代表から説明を受けた平井知事は「皆さんの感性と探り当てたことが鳥取県を変えていくだろう」と期待を込めた。
若者の健康にフォーカス ns.レンジャー奉仕団

智頭町で森林セラピーについて聴き取りするメンバーたち
将来、地域に元気な高齢者をもっと増やしたい。そのためにも20、30代のうちから、生活習慣病の予防意識を持ってもらうことが大切だ。看護師を志す鳥取看護大(倉吉市)の学生5人が若者の健康づくりにフォーカスし、県への提案を練る。
■若者をターゲット
住民の健康増進は元気な地域づくりに直結する。健康を切り口とした地域活性化方策を探るため、智頭町で森林セラピーの取り組みを聴き取りした際、若者の参加が少ないことが気になった。
そこから同世代の健康への意識が低いことに着目、看護大の学生や地域の高校生らを対象にアンケートを始めた。健康づくりはバランスの良い食生活、心身の疲労回復、適度な運動に尽きるが、意外に常識的なことができていなかった。
代表の以後大騎さん(19)は「もっと若いうちから、健康寿命を意識した行動が必要」と訴えた。
■備え、楽しみ両立
食・睡眠・運動の三つの視点で、政策提案の方向性を探っている。1人暮らしにも役立つ健康食材を使ったレシピのPR、短時間でできる快眠体操の普及、若者のスポーツ参加機会の拡充などが提案の柱となりそう。
このうち、低料金で利用できる若者専用トレーニングジムの開設を望むのはメンバーの一人、小松美聖さん(19)。「同世代が集うことで、イベントも絡め、利用者の交流の場になればいいなと思う。あればぜひ、利用してみたい」と強調した。
健康長寿。ずっと先の将来への備えとして、地道な継続が求められる取り組みさえ、楽しむことを忘れない若者ならではの発想が見え隠れする。
方言をふるさと教育に生かす 1997中山中卒業生

イベント「方言ナイト」を開催し、方言の必要性を訴える白石さん(中央)
ふるさとを感じる懐かしい響き。使うだけで仲間意識を育む方言の魅力に着目した大山町のUターン者らが、郷土愛を醸成するコミュニケーションツールとして、その継承を提起している。
■「後世に残そう」
大山町民や県中部出身者ら10〜70代の57人に意識調査して、方言の必要性を再認識。「方言を使うと、不思議と地域社会への帰属意識が芽生える気がする」「年配の人との交流には不可欠」などの声が寄せられた。方言を地域の財産として後世に残していこうと、手始めに方言イベントを琴浦町で開催。参加者約25人が県内各地の方言の意味や用例を楽しく学んだ。
今後は、県のホームページ上で運営する「とっとり動画ちゃんねる」に「方言チャンネル」の増設を提案する予定。県外の移住希望者にも、鳥取県を知ってもらうきっかけになることを期待する。
■学校で学ぶ機会を
メンバーの一人、前田海夢さん(37)は昨年、幼少期を過ごした大山町に約20年ぶりにUターン。方言を使うことで「短期間で地域になじめた。方言が住民との“壁”を取り払ってくれた」と振り返る。
視線の先には、子どもたちの地域への愛着と誇りを育む「ふるさと教育」がある。最終的には小中学校教育の中で、方言に触れる機会を設けていくことができればと考えている。
「地域のまちづくり団体などと連携し、高齢者から方言の良さを学ぶ場を、まずは大山町で試験的に展開できれば」と語る代表の白石泰志さん(37)。思いは膨らむ。
子どもの“預かり合い”実践 おひさま2525八頭

スーパーのキッズスペースで、預かり合いを実践する参加者
子育て世代の声を県政に届けるべく、八頭町で主な活動を行う鳥取市と八頭町の“ママ友”3人組。商業・公共施設のキッズスペースで子どもを見合い、時間差で30分〜2時間の自由時間をつくる「預かり合い」の実現を探っている。
■実践に着手
約100人に実施したアンケートで、子育て世代が抱える悩みを把握した。「子育てに追われる者同士、助け合える共同体があれば」と思い立ち、「預かり合いコミュニティー」の実践に着手した。
最初の実践は8月30日、鳥取市内のスーパーで2時間行った。知人に呼び掛け、メンバーを含め6組の親子が参加。1人30分の自由時間は他の5人のママ友に子どもを預けて周辺で買い物をするなど子育てから解放され、身軽になった時間を有意義に活用した。
■手応え十分
目が離せない子どもが一緒だと、できないこともたくさんある。「30分だったが、書店、百均の店にも立ち寄れたし、お手洗いにもゆっくりいることができた」と参加者たちはそれぞれリフレッシュした様子。「年齢差のある子を見ることで、今後の子育ての参考になった」と仲間づくりや情報交換の場として期待する声も上がり、十分な手応えがあった。
今秋の政策提言に向けては、場所の開拓や開催日時と参加者をマッチングする仕組みの構築など課題を整理。リーダーの中村瑠美さん(33)は「まずは預けることへの不安を解消するよい手立てがないか」と考えを巡らす。
19日には八頭町内で、試験的に2回行った実践成果を子育て層に報告し、座談会で取り組みの改善点を探る。当事者目線の政策実現は「子育て王国とっとり」の支援施策に厚みを加えそうだ。(毎月掲載)
地域に飛び込む学生たち 生山大學

定期的に開いている古民家での座談会
鳥取市生山地区の古民家で共同生活する鳥取環境大の県外出身学生らが「生山大學」(4人)を結成。地域活動を通じて住民と接点を持ち、埋もれている行政課題を探ろうと奮闘中だ。
■政策立案に意欲
学生にとって地域は実践の場でもある。「地域で活動しやすい仕組みを作りたい」という思いがあり、これをテーマに自由な発想で政策立案できる“広聴レンジャー活動”への参加を決めた。これまでに学生や地域住民ら約100人を取材し、現状把握に努めた。
メンバーの一人で、耕作放棄地解消のため、生山地区で米作りプロジェクトを主導する見上光さん(21)は「システムが複雑で農地が借りにくい」と指摘。行政には学生と地域の“緩衝材”としての役割を期待しており、そこを改善することで、移住にもつながる政策を立案するつもりだ。
■膝を交えて
毎週金曜日の夜は、築100年を超える古民家が“座談会”の舞台となる。環境大の学生や教員、時には地方議員が訪れ、地域を良くしたい気持ちをぶつけ合う。
「公の場にはないラフで、拾いきれないほど意見が噴出する」という。若者が政策提言する「とっとり創生若者円卓会議」にも参加経験があり、4人のまとめ役的存在の沢田雄太さん(20)は、大勢の意思を吸収できるこうした機会が、広聴活動の幅を広げていると実感。今後は「学生が地域の人と直接膝を交え気軽に話ができる場をつくり、両者の意思疎通を促す契機にしたい」と考える。
生山地区の盆行事にも参加したメンバーたち。地域に飛び込み、課題解決に挑む。(毎月掲載)
耕作放棄地の有効活用を Kohno Lab North Forest+1チーム

「白鳳の郷地域活性化協議会」のメンバーと意見交換する米子高専の学生たち
=6月26日、琴浦町
コンピューターとロボット制御を学ぶ米子高専(米子市)の学生5人が、ICT(情報通信技術)の活用による耕作放棄地の有効活用をテーマに、広聴活動を続けている。
■アプリ開発視野
農家の高齢化などで作り手のいない農地が増え続ける地元・弓浜半島を「何とかしたい」と立ち上がった。農地の再生は地域の活力になる。まず思いついたのが土地所有者と作り手をマッチングするアプリの開発だった。
行政、農家、農業法人、遊休農地で芝生産に取り組むSC鳥取などを訪れ、地域の現状や課題を聴いた。そんな折、「とっとり若者広聴レンジャー」の存在を新聞報道で知った琴浦町の「白鳳(はくほう)の郷(さと)地域活性化協議会」から連絡が入った。
「若い人と一緒に考えることに意味がある。ぜひ意見交換したい」
■意見交換で学ぶ
休耕田活用を地域振興のテーマの一つに掲げる同協議会との意見交換会は、6月下旬に実現した。協議会のメンバーからは「農業機械の操作をICTでサポートできないか」「農業は本来理系のもの。感覚ではなくデータを生かし収益を上げることが必要」など、今後政策提言していく上でのヒントを得た。
耕作放棄地解消へインターネットやアプリを駆使するにしても、土地所有者と作り手のマッチングだけでなく、作業効率や収益性を上げる作り手への支援も重要な視点となることを学んだ。
チームリーダーの梶本淳さん(19)は「今回は、農家の視点に立った生の意見が聴けた。耕作放棄地解消は簡単ではないが、いろいろな切り口でICTの生かし方を模索していきたい」と意気込む。(毎月中旬掲載)
21人を任命 5チームまちに繰り出す

任命式に出席し、意気込みを語ったメンバーたち=5日、県庁
県政に届きにくい地域の課題を若者目線で探り、解決策の立案につなげるため、鳥取県は「とっとり若者広聴レンジャー」を任命した。それぞれのテーマを掲げる5チーム(21人)が地域に繰り出し、住民の声に耳を傾ける。未来を担う世代が県政参画の推進力となり、突破口を開けるか。新たな挑戦が始まった。
■知事もエール
県庁で5日に開かれた任命式。公募して同レンジャーに選ばれた10〜30代の学生、社会人が顔をそろえた。ICTを活用した耕作放棄地の再生、健康を切り口とした地域活性化方策、子育てしやすい環境づくりなど、各チームの活動テーマが披露された。
広聴活動で使うペン、バッジ、名刺、マイクなどをチームの代表者に手渡した平井伸治知事。「『これはぜひ、やるべきだ』というのが見え、それが実際に世の中に役に立っていくとき、とんでもなく充実感を得られる」と経験談を交え、エールを送った。
■地元に貢献を
小回りが利く人口最少県の強みを生かし、活動の現場で直接聴いた意見を取り入れて、県政を変えていく発想だ。
子育て環境の充実を目指す女性は「子育て中のママのネットワークを生かし、同じ立場の私たちが小さな声をたくさん拾い上げていきたい」と意気込む。
「地域に入るので、地域の方々とのコミュニケーションが大切」と話すのは、耕作放棄地の地権者と担い手をマッチングするアプリ開発に挑む米子高専の学生。「やるからにはいい物をつくる。地元に貢献したい」と固い決意を表明した。(毎月中旬掲載)
若者視点の政策提案へ 県が新制度導入

鳥取県は本年度、県政に届きにくい住民の声を聴き取り、政策に導く若い“正義の味方”を地域に送り出す。その名も「とっとり若者広聴レンジャー」。地域活動に参加しながら、広聴に使命感を持って取り組む若者たちを9回にわたりリポートする。(毎月中旬掲載)
■行政課題掘り起こし
往年の戦隊ヒーローをほうふつさせるネーミング。学生ら若者5人程度がチームを組み、約1年間活動する。別名「みんなの意見聴くンジャー」。自ら地域に出向き、住民とさまざまな活動に参加する中で、見過ごされがちな行政課題を掘り起こしていくのが最初のミッションとなる。
吸い上げた課題を解決するため、会議や討論会などの場を通じてチームで議論を深める。最終的に目指すのは、若者の視点を生かした政策提案だ。県は4チームで計20人程度の隊員を任命したい考え。現在、農村や地域経済の活性化などにつながるテーマ、想定される活動とともに活動チームを公募中。5月中にも任命式を行う。
■県政参画を後押し
2013年に県民参画基本条例を制定するなど県政への県民参画を推進する平井県政。近年も「パートナー県政推進会議」(13年)、「とっとり創生若者円卓会議」(14年)、「県民意識調査」(16年)など県民の声を施策の立案、見直しに反映する機会を創設している。
「近年、地域課題に関心を持つ学生たちが増えている」(県民課)と分析しており、さらに若者の県政参画を後押しする全国的にも新しい仕組みを整えた。中西朱実県民課長は「声なき声を聴く新たな広聴。若者が地域に飛び込み耳を傾け、課題解決に向かっていく。地域を救い鳥取の未来を拓(ひら)く広聴レンジャーに挑戦してほしい」と活躍を期待している。