Q.慢性膵炎(すいえん)の内服治療中で検査は調子が良いのに痛みが続き、最近痛みも背中から肩に突き刺すように感じます。何か異常でしょうか。
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A.膵臓(すいぞう)の位置は背中の内臓側で、痛みなら膵臓のある小さな場所だけが痛くていいはずですが、皮膚や手足を通る体性神経と違い膵臓などの内蔵神経は束が細く、伝達速度も遅いので痛みもアバウトにしか分かりません。
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加えて、痛みは脊髄(ぜきずい)を通って大脳で痛みを感じますが、その脊髄に神経線維が入り込む場所が、内臓神経と体性神経が同じ場所に入るので、膵臓と関係ない肩や頚が関連痛として感じます。個人差もありますが心臓の痛みが歯痛と感じたり、胆のうの痛みが右肩に放散したりします。血液検査や画像診断で良好なのに痛みが続く場合、肩や腕に響く痛みが続くと肩手症候群という難治性疼痛(とうつう)に変わる場合がありますから十分注意しましょう。肩手症候群とは上半身の傷みの引き金の病気があって起こる肩の痛みと運動制限、同側の手・手指の神経・血管障害による腫れ・色の悪さなどが起こるものを言います。お近くの痛みの診療科にお尋ね下さい。
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鳥取ペインクリニック 院長 延原 弘明さん
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