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コラム

海潮音

2月4日

 降り続く雪、雪…。通勤や通学など日常生活への支障は大きく、外で遊べなくて、家に閉じ込められていた小さな子も多かったろう◆この雪、手元の辞書によると、本字は雨かんむりに彗を書いて「」。彗には小さい、軽いの意味があり、雪片が雨のように空から降る様子を表現したものか。風に吹かれふわふわと舞う真っ白な雪。実際には不都合なことが多いはずなのに、雪には人の心をとらえる不思議な魅力がある◆六花、天花、風花、青女、白魔−。全て雪の異称で、六花は六角形の結晶の形から。天花は天上界に咲く花を、風花は晴れた日に風に乗って舞う雪を指す。各地に大きな被害をもたらした今回の豪雪は、悪魔に見立てた白魔の表現がぴったりだ◆異称に限らず、雪にはわずかな違いでいくつもの呼び名がある。粉雪や綿雪、玉雪、べた雪など。その詳細さは日本人の感性の細やかさを示すとともに、良くも悪くも、雪がわれわれの生活のごく身近にある証しでもあろう◆暦の上ではきょうから春。猛威を振るった雪も、ようやくピークを越えたが、油断は禁物。来週には再び寒気が訪れるという。雪とけて村いっぱいの子どもかな(小林一茶)。本格的な春の訪れまで、もうしばらくの辛抱だ。


2月3日

 鳥取市など鳥取県東部で積雪60センチを超える久方ぶりの大雪となった。昨年正月の県西部の記録的な豪雪が頭をよぎる。車が千台以上立ち往生した中西部の国道9号。その後、並行して山陰道の東伯中山道路が開通した。東西を結ぶ2本の大動脈は心強い◆しかし、県東部の山陰道・鳥取〜青谷間の全通はまだ見通しがつかない。山間部の道はあるが、実質国道9号に頼らざるを得ず、きのうの昼間も、鳥取市白兎の国道9号で走行不能の車によって大渋滞を起こしたほどだ◆国土交通省などはきのう午後、白兎や鳥取市気高町浜村で大型車を対象にチェーン装着の指導を行った。昨冬のような立ち往生は二度とごめんこうむりたい。山陰道の全線開通に向け、さらに声を大にしたい◆今冬は東北、北陸を中心に「平成18年豪雪」以来の積雪量となっている。秋田県玉川温泉の雪崩事故、雪下ろし事故などによる多数の死者、青森県の車の立ち往生など豪雪地帯の悲劇が繰り返されている。地球温暖化が逆に日本に寒波をもたらしているとの指摘もある◆きょうは節分、あすは立春だが、まだ春の気配は感じられない。恵方巻きのことしの方角は「北北西やや右」。巻きずしをかぶりながら、季節風が弱まるのを願いたい。


2月2日

 東京に雪が降ると何かが起こる。歴史的な事件と結びつける人も多い。首都圏を今年一番の寒波が見舞った夜、また事が起こった。“石原新党”である◆昨年秋の大阪の陣で圧勝した橋下市長の維新の会。その余勢を駆って次は国政参戦の構えを見せている。石原都知事に「中京都」の大村愛知県知事も加わり、3大都市から国を変えようと決起の動きだ◆だが、石原新党と橋下新党、目指すところはどうか。石原新党の同志は国民新党の亀井さん、立ち上がれ日本の平沼さん。どちらかといえば一世代前の政治家、橋下さんら維新世代とどうみても不釣り合い。選挙目当ての“野合”とも映る◆本紙の政経懇話会で石破さんは「次の選挙は50年、100年先の日本の命運を決める」と強調。景気回復、財政再建、税と社会保障、TPPなど再生への課題は多い。橋下さんは明治維新の坂本龍馬にならって「船中八策」を持ち出した。大阪都構想だけでなく、新しい国づくりの「現代版・船中八策」をどう掲げるか。総理候補の一人に目される石破さんはさて…◆明日は節分。真っ白な雪に時折そそぐ日射しに暖かさを感じる。行きつ戻りつ、古いものと新しいものが交錯する。かすかな日脚の伸びに希望を託し、春を待つ。


2月1日

 鳥取県の平井伸治知事がたたかれている。今秋の国際マンガサミットのプレイベントとして開催する「国際まんが博」に、ディズニーの人気キャラクター「スティッチ」を登場させる案に「安直。本来の趣旨と違う」と反発を受けている◆もともと鳥取大会は、谷口ジロー氏ら県出身の漫画家を財産に、地域づくりにつなげようとの狙いだ。それを集客のために海外キャラに頼るのか、との批判だが、知事は「博覧会ですから、にぎやかでいいのでは」と意に介していない◆実は、この騒動には前段がある。企画提案側はスティッチは素材の一つにしていたのだが、事務局が県議会に提出した資料には前面に出ていたため誤解を生んでしまった。発表の仕方で、良くもなり悪くもなりの典型だ◆当然、知事自身も「メード・イン・鳥取」の大切さは分かっている。こだわりもある。ただ、漫画を難しくとらえていないようだ。子どものころ読んだ週刊少年漫画誌は、さまざまな漫画家の個性が光り、それが楽しみでもあった◆知事の頭の中は、批判も話題の一つ。漫画を県の活性化にどう結び付けるか。その仕掛けをしっかり考える場があり、親子で楽しんでもらう場もある。それができるのも漫画やアニメの特徴だと思う。


1月31日

 少し前に松江市東出雲町にある黄泉比良坂(よもつひらさか)を訪ねた。日本最古の歴史書『古事記』に出てくるこの世とあの世を隔てる坂である、との伝説がある場所だ◆この坂を舞台とする古事記に記された神話は、多くの神々を産んだイザナキノミコト、イザナミノミコト夫婦の物語。イザナキは、火の神を産んで亡くなったイザナミに会うため黄泉の国へ。ところが変わり果てた妻の姿に恐れおののき、逃げ帰る。後を追ってきたイザナミを振り払い、大きな岩で黄泉比良坂をふさいだ◆訪れた黄泉比良坂は、池のほとりに立つ2本の石柱にしめ縄が渡され、そこをくぐるとイザナキが坂をふさいだ岩を思わせる巨石が祭られていた。そばには、地元民が70年余り前に建てたという伝説の地を顕彰する石碑がある◆イザナキが黄泉の国を訪問する神話は、古代の人たちの死に対する恐怖心や死後の世界の概念を表しているとされる。雨にぬれ、神秘的な雰囲気を醸し出す黄泉比良坂の岩を見て、難解と感じていた神話の世界が少しだけ身近になったような気がした◆ことしは古事記編さん1300年。7月から11月にかけて出雲大社周辺で、神話の魅力を発信する「神話博しまね」が開かれる。神々と向き合う年が始まった。


1月30日

 TPP(環太平洋連携協定)問題などで日本の農業が揺れる中、注目されている農業がある。青森県のリンゴ農家、木村秋則さんの無農薬、無肥料の栽培法「木村式自然栽培」。鳥取県でも実験的な取り組みが始まり、さらに拡大する勢いだ◆鳥取県木村式自然栽培実行委員会が昨年、県中部の3カ所で栽培に取り組んだが、ことしは10カ所以上に広がる見通し。北栄町で32ヘクタールの農地を耕作するエイチアグリの日置健生代表(33)も一部農地で挑戦する◆「本来の農業は農薬も肥料も使わず、自然を上手に使ってやるもの」と日置さん。だが、その日置さんも「自分でも研究してきたが、完全に無農薬、無肥料でやるのは無理ではないか」と楽観はしていない。それでも挑むのは「消費者が安全、安心な食べ物を求めるように、生産者も安全なものを提供したいという気持ちが強い」ためだ◆木村さんは「絶対に無理」とされたリンゴの自然栽培を10年以上も収穫がない厳しい状況を経て成功させた。稲はリンゴに比べれば取り組みやすいというが、挑戦者には相当な覚悟が求められる◆だが、何にも挑戦しないで農業が産業として生き残っていけるほど状況は甘くない。実行委員会や日置さんらの挑戦を見守りたい。


1月29日

「やりがいのある仕事に出会えた」。先日、鳥取市内で開かれた鳥取県生命保険協会と、同協会から奨学金を受けて介護福祉士を目指す学生たちとの懇談会で、仕事への意欲を語る学生たちの姿に、出席者の多くが将来への不安を和らげていた◆介護福祉士が国家資格として定められたのは1987年。約25年がすぎ、利用者の身の回りの世話だけでなく、生き方や生活全体に関わり、利用者の暮らしを支える役割も担っている。知識や技能の高度化が進み、来年度からは医療行為とされる「たんの吸引」なども行う◆人材や施設の充実とともに介護サービスの利用者は増加している。鳥取県は特に利用が多く、高齢者1人当たりの介護サービスの利用金額(2010年)は全国で2番目に高い◆ただ介護サービスの充実と介護保険料の上昇はセット。来年度の保険料が10年前に比べ2倍近くになる自治体がある。今後も少子高齢化の進展を考えれば、保険料の一層の引き上げは避けられない◆24日に開会した国会で焦点となっているのが「社会保障と税の一体改革」。消費増税をめぐる賛否の議論は伝わってくるが、肝心の社会保障制度の将来像がはっきりと見えてこない。負担増に納得できる制度なのか、注視したい。


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