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コラム

海潮音

3月13日

 NHKの連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」の放送が29日、始まる。中海圏域を全国にアピールする絶好の機会である。関係者は活性化に向けて盛り上がっているが、地域などによって何か温度差を感じる◆先日、主役のモデルで原作者の武良布枝さんのふるさと・安来市大塚町で、放送記念モニュメントの除幕式とふるさと展の開幕記念式典があった。朝から冷たい雨や雪にかかわらず、地元の人や観光関係者など出席者の熱気で、あまり寒さを感じなかった◆布枝さんは、境港市出身の漫画家、水木しげるさんの妻。「ゲゲゲの女房」は、布枝さんや水木さんの姿を描いたドラマで、半年間にわたって全国放送される。内容からすると、前半の舞台は安来市が中心だろう。安来市を全国に売り出す大きなチャンスである◆安来といえば、全国70支部、約4千人の保存会会員を数える安来節の聖地。1月の歌い初めや8月の全国優勝大会には全国から多くの観光客が詰め掛けるが、関係者の間からは「市民全体が盛り上がらない」といった声も聞かれる◆放送開始までわずか3週間弱。盛り上がりをどう市民全体に広げるかが、緊急の課題である。「のぼせ者をみんなで支援する体制づくりが必要」−。先月、市内で開催された講演会での小林淳一・島根県商工労働部長の言葉を思い出した。


3月12日

 パソコンが生活や仕事に欠かせない道具となり、手書きの文章を書くことが少なくなった。仕事の文書、町内会や学校関係の連絡文書、年賀状などすべてパソコン。最近はパソコンや携帯電話のメールでほとんどの用事が済ませる。便利なツールだが、年賀状など私的なものは手書きの味を大切にしたい◆本紙「読者のひろば」面への投稿は手書きが多い。書き慣れた中高年齢者が多く、書き手の気持ちが行間から伝わり味わい深い。便利さを追求するあまり失われたゆとりを取り戻すため、鉛筆やボールペンを手に原稿用紙に向かいたいものだ◆投稿者でつくる「やまびこ友の会」が文集22号を発刊し、祝賀会で会員と懇談した。この中で百歳会会員の早瀬友夫さん(85)=智頭町=が自作の「いろは健康川柳」を披露した。「い 胃も腸も身の内だから大切に」「ろ 老人の孤独一番ボケのもと」。そして「さ さあ行こう歩け歩けだ負けないぞ」◆90歳を超える会員もいる友の会の皆さんはいずれも好奇心旺盛で、文章を書くことで頭を鍛え、健康に人一倍気を遣っている。その会員が「中学生の投稿が増えた」と口をそろえる。「友の会に若い人も入れなくては」とも◆日本語が崩れつつある現代社会にあって、鳥取県の中学生たちの社会を見る目、文章を書く力に期待を込める。


3月11日

 「B級グルメ」が大はやりだ。庶民的な価格で、気軽に手が届き、そして、うまい。いわゆる高級料理を「A級」、それに対して「B級」。最近では「ご当地」(ベーシック)や「継続」(ビーイング)の「B」も加わり、意味合いを深めているとか◆今週初め、テレビで「47都道府県ご当地B級グルメ決定戦」をやっていた。見ていると、なんと最近話題の「鳥取牛骨ラーメン」が第2位に入った。県内では、テレビに向かって「万歳」「万歳」と狂喜乱舞した“応麺(めん)団”が大勢いたようだ◆牛骨ラーメンの歴史は半世紀にも及ぶ。県中部の人間は慣れ親しみ、これぞラーメンとひそかに誇りにはしていたが、「牛骨でだしをとっている」「全国的に非常に珍しいラーメン」とはつゆほども知らなかった。発祥の歴史、味の系譜など、聞けば聞くほど驚くばかり◆全国からレシピを取り寄せ、「100人の料理専門家が実際に味わい、決めたと聞いています。まさか、銀メダルを取るとは…」(応麺団)。ことし1月、スポットライトが当たって以来、牛骨ラーメンの人気はうなぎのぼりだ◆当該店は県中部に15店以上ある。半世紀にわたって愛され続けてきた店も。これはもう、地域に根づいた立派な食文化だ。応麺団の“お宝”発掘能力は相当高いとみた。


3月10日

 単身赴任の父や働きずくめの母に代わって、育ててくれたのは祖父や祖母だった。ときにはこっぴどく怒られたこともあったが、やさしく、ものの道理や生き方などを教えてくれた◆このほど、日本海新聞ふるさと大賞の地域貢献賞に輝いた南部町立会見小学校GTAの活動に、“おばあちゃん子”だった子どものころを思い出した。「GTA」にはなじみがない人もあろうが、PTAの祖父母版。仕事などで学校にかかわる機会が少ない父母に代わって応援する◆結成されて5年がたち、会員は現在、70人余り。それぞれの経験を生かし、昔遊びや農作業、そば打ち、みそ造りなどの体験授業の手助けから花壇づくりなどの環境整備、児童の見守りなどさまざまな形で学校を支える◆少子・高齢化が進み、核家族化も著しい。地域の教育力の低下が指摘されて久しい。今や人生80、90年の時代、祖父母といってもまだまだ現役、老け込む年ではない。昔培った経験や知恵を孫たちのために生かす。おじいちゃん、おばあちゃんは何よりの「先生」である◆地域ぐるみで学校を支援する「コミュニティースクール」として全国から注目される会見小。GTAはその中心的な役割を担っている。次代を担う子どもたち、同時におじいちゃん、おばあちゃんも「地域の宝」である。


3月9日

 『ルパン三世』に『あぶさん』、『味いちもんめ』…。漫画ファンなら“お宝”ものだ。日本を代表する28人の漫画家から、平井伸治知事に大きな「寄せ書き」が届いた。2012年の「第13回国際マンガサミット」の開催地に鳥取県が内定した◆名乗りを上げてから半年だが、県は台湾で「まんが王国とっとり」をアピール、知事も国内事務局で誘致への意気込みを語った。決め手となったのはその熱意。「熱心な所は大会も熱心にやってくれる」(事務局)と明快だ◆もう一つ。鳥取県は水木しげるさんら多くの漫画家を輩出していることも。鳥取市出身で同市を舞台にした『父の暦』などで知られる谷口ジローさん。事務局の立野康一さんは県庁で「谷口先生は漫画家仲間からも尊敬されている」と語った。その鳥取県での開催は縁(えにし)を感じる◆大会には東アジアから約300人の漫画家が集結する。国際会議のほか、原画展示などの催しに過去の大会はいずれも大盛況という。マンガは世界共通の文化であり、北東アジアとの交流に力を入れる鳥取県には大きなチャンスだ◆知事はサミットを地域づくりにつなげていく考えで、境港市には水木ロードという成功例もある。時代の共通話題として盛り上がるのも漫画の魅力。成功へ面白い仕掛けをどんどん打ち出したい。


3月8日

 “夢”の祭典バンクーバーオリンピックが閉幕した。世界のトップアスリートとあってどの選手も輝いて見えた。その一方で、夢(メダル)をつかむことがいかに難しいかも教えられた◆女子モーグルの上村愛子選手。「なんでこんな一段一段なんだろう」。初出場から12年。7位から一つずつ順位を上げ、今回は4位。夢に届かなかったとはいえ、彼女のひたむきな姿はわれわれに感動を与えてくれた◆話は変わるが、鳥取県三朝町でも夢を追い掛けている。「三徳山の世界遺産登録」という夢だ。2001年から登録運動を開始し、今年で10年となるが、いまだ入賞(暫定リスト入り)への道は険しい。ともすれば「もう無理ではないか」と気持ちは折れそうにもなる◆2月末に三徳山などの山岳信仰を考える国際シンポジウムが開かれた。その中で、シンポジウムを主催した鳥取環境大学の浅川滋男教授は「世界遺産登録まで20年間の持続的研究・活動を覚悟すべき」と訴えた◆もちろん20年で夢をつかめる保証はない。これはオリンピック選手とて同じこと。だが、それでも彼らは夢を追い掛ける。その姿は輝いている。三徳山の世界遺産登録運動が盛り上がれば盛り上がるほど、ふるさとの宝は輝きを増すことだろう。夢は追い掛けなければ近づいてこない。


3月7日

 日本にたばこが伝来したのは、16世紀後半の安土桃山時代とされる。九州に入港したポルトガル船の船員が持ち込み、やがて葉タバコが栽培されるようになった。江戸幕府による度重なる喫煙禁止令にもかかわらず、収益性の高い葉タバコ栽培は全国に広がった◆鳥取県では18世紀後半ごろから日野郡や八頭郡で栽培され、作付けが拡大したという。1897(明治30)年には米子葉煙草専売所が現在の米子市勝田町に設置され、8年後に刻みたばこの製造が始まった◆専売所の流れをくむ日本たばこ産業(JT)米子工場(同市上福原)が、今月末で操業を終える。100年以上にわたるたばこ製造が、どれだけ米子市の経済に貢献してきたかは、数字が如実に示している◆工業統計によると、民営化でJT米子工場が初めて調査対象となった1985年、産業別製造品出荷額は「飲料・飼料・たばこ」が市内出荷額の3割近くを占め、「パルプ・紙・紙加工品」を抜いてトップに躍り出た。その後も首位は揺るがず、2007年調査では出荷額1041億円で占有率は約4割。主力産業の工場閉鎖は大きな痛手だ◆JT米子工場の足跡をとどめる記念碑が、発祥の地の近くにある勝田神社に建立され、7日に除幕式がある。米子のたばこ製造は歴史となり、新たな産業の創造が急がれる。


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