海外進出の意欲 徐々に スタートアップも サポート注力

中小企業基盤整備機構近畿本部 中島康明本部長インタビュー

 新型コロナウイルス感染症の格付けが季節性のインフルエンザと同じ5類へ移行し、中小企業の海外展開やスタートアップ(新興企業)の意欲も高まりつつある。国も支援を強化しており、多彩な専門家を擁し、ハンズオン型の支援を得意とする中小企業基盤整備機構近畿本部の中島康明本部長に話を聞いた。

 -近畿の景況は。

 「インバウンド(訪日客)が戻ってきており、全体的には上向いているものの小規模企業は価格転嫁が厳しい。人手不足は2種類でワーカーに加えマネジャークラスもいない。上の世代が引退し若手が育っていない。顧客対応や生産性管理の遅れから、顧客を逃したり、コストアップにつながりやすい。ものづくりの現場で女性の登用の声が聞かれ、活躍の場が広がるのでは」

 -海外進出の意欲は。

 「2021年度に500社ほどの相談を受け、『特定国なし』が16%、昨年度は700社で31%。『施策を知りたい』『海外に出る時に必要な準備は』という質問が増え、国内での準備が必要で対応している」

 -国別の状況は。

 「ものづくり系はベトナムが復活しており、マーケットとしてはアメリカ。大阪商工会議所や関西経済連合会などは東南アジア諸国連合(ASEAN)を重視しており、われわれも。うちでは9月に東大阪市で『アフリカフォーラム』を開く。日本のスタートアップでもアフリカに目を向けている人がいる」

 -関西のスタートアップ支援の状況は。

 「創薬やバイオが多く、治験などがあり時間がかかる。装置産業が多く、量販に移る段階でお金を出してくれない。例えば、賞を取ったことがゴールではなく、みんながコミットし、本当のエコシステムにしないといけない」

 ―中小機構の対応は。

 「ベンチャーキャピタル(VC)や社労士など専門家がアドバイスをしていく。バイオ、ものづくりは少し長い目で見なければいけない。京都、神戸、大阪にネットワークがあり、長期的に支援していく。海外のVCも活用してもらえれば」

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