潮騒 2023.6.2

 1966年から始まり58回目を迎えた「上方漫才大賞」各賞が5月27日にカンテレ系生中継下で決まった。大賞「プラス・マイナス」(結成20年目)奨励賞「吉田たち」(同16年目)新人賞「カベポスター」(同10年目)。それぞれ停滞期にもがき苦しみ、たどり着いた受賞だけに顔ぶれに異論はない◆奨励賞と新人賞は、ノミネート候補者が生でネタ披露し、テレビ視聴者や会場来場者がスマホを通じネット投票できる。しかし投票結果公表がなく、姿形を一切見せない審査員が何人で何を評価して受賞者を決めたのか、が何も説明されない◆さらに不可解なのは大賞受賞者の選び方だ。ノミネート自体明らかにされず、選考過程はもちろん受賞理由が誰からも一切説明がない。昨年はミルクボーイ、一昨年かまいたちと人気者を選んだかと思えば、大ベテランが2回目、3回目の受賞をする場合もあり、方向性が見えてこない◆受賞会見でプラス・マイナスの2人が「絶対ドッキリやと思った」「テレビで人気の出ているコンビが受賞するモノ、と思っていた」と感想を述べるのも無理はない◆情報公開と説明責任は何も政治の世界だけではない。現代の賞レースは視聴者の十分な納得が得られないと、賞その物が薄っぺらくなる。(畑)

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