潮騒 2023.6.16

 難民認定申請中でも本国への強制送還を可能とした「改正入管法」が自公政権側に加え、“ゆ党”(与党と野党の間、という意味)の維新と国民の賛成で国会を可決、成立した◆難民と聞くと“貧困からの逃避”イメージがあるが、規定では「母国に戻れば政治的迫害を受ける恐れがある者」が対象で、より良い生活を求め米国を目指す中南米からの移住希望者らは「経済難民」として区別される◆先日「北朝鮮帰国事業の人権を考える映画会」が大阪であり、昭和時代に北朝鮮を「理想の楽園」と信じて日本から船で朝鮮半島に渡った約9万人の「その後」を考える講演会や報告会があった。21世紀にまれな三代世襲の専制独裁国家は、国民の自由な国内移動も海外出国も認めていないから、帰国の形で入国してしまった人々の後悔と辛酸は察して余りある。脱北できれば難民だ◆さらに中国に多数いる少数民族や複数国にまたがるクルド族、ミャンマー軍事政権下の住民など、島国日本では図りかねる人権侵害は世界中にある◆少子高齢化が進む日本は、確実に単純労働者が不足している。ほとんどの不法滞在者は見つかれば諦めて帰国する。帰らない人はもっと事情があるから帰れない。「改正入管法」は発想が乱暴だ。(畑)

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