３月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック（ＷＢＣ）。侍ジャパンが決勝でアメリカを３－２で下し、７戦全勝で３大会ぶり３度目の優勝に輝いたことはまだまだ記憶に新しい◆その侍ジャパンの世界一への軌跡を振り返る完全密着ドキュメンタリー映画「憧れを超えた侍たち 世界一への記録」を鑑賞した。もちろんこのフィルムを見る人だけではないが、シネコンは予想以上の人出で、ドリンクとポップコーンを買う人たちの行列には驚いた◆選手のロッカーやベンチでの様子、さらに選手の苦悩や葛藤、ベンチ裏での悔し涙、バッテリーの配球や選手同士の奥深い会話の数々、監督、コーチのまなざし、そして歓喜の瞬間までの貴重な映像が野球の面白さを伝えてくれる◆ＷＢＣを見て野球が面白いと感じた人にとっては、この映像を見るとより野球が面白くなるに違いない。野球好きや野球マニアにとっては、もっともっと奥に踏み込んだ映像を見たいとの欲求があふれるだろう◆準決勝のメキシコ戦で劇的な逆転サヨナラ勝ちのシーンでは、結果は分かっていても手に汗握り、決勝の最後の場面では拳に力が入る。控え選手の役割の大切さも改めて教えられた。野球好きも、そうでない人も楽しめる映画だろう。（松）
潮騒 ２０２３．６．１７
