潮騒 2023.6.22

 街中どこでも誰もが気軽に楽しめるフランス発祥の音楽イベント「音楽の祭日」が今年も各所で行われている。夏至に合わせて世界中で「音楽はすべての人のもの」と歌い、奏でられている◆日本では2002年、関西地区でスタート。①入場無料とし公式にオープンであること②演奏者はジャンル、プロ・アマを問わない③6月21日(夏至)に行うことをうたう「ヨーロッパ音楽憲章」に準じる◆第1回開催時の新聞記事を見返すと、6月21、22日の開催で、大阪市内のクラシックホールやホテルのロビーなど十数カ所で約100組(約450人)の音楽家が演奏。04年からは関東一円にも広がっていく◆06年には大阪フィルハーモニー交響楽団の音楽監督(現在は桂冠指揮者)だった大植英次さんの発案で、初秋に1週間程度、御堂筋や中之島エリアのビルやホテルなどを主な会場とした音楽の祭典「大阪クラシック」も始まった◆どちらも印象に残っているのは、ふらっと立ち寄ったカジュアルないでたちの夫婦の姿。母親がうっとりと室内楽に聴き入っている横で、父親は子どもを抱いたままうたた寝をはじめた。この気軽さこそ、イベントの真骨頂だ。理想を言えば、もっと多くの場所で演奏され、予約も一切不要になればと思う。(斎)

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