潮騒 2023.6.25

 「2024年問題」をご存じだろうか。時間外労働への上限規制の適用による人手不足が懸念される問題で、物流業界のドライバー不足が話題になる事が多いが、建設業界の作業員も同様の課題を抱えている。より深刻なのは業界内ですら、問題の存在が周知されていないことだ◆クラウド録画型カメラの開発・運営を手がける「セーフィー」が実施した建設業管理職へのアンケートによると、「24年問題の内容を把握している」企業は53・9%で「対策を講じていない」企業が25%超に及ぶ◆24年と言えば2025年大阪・関西万博の前年で、舞台となる夢洲(ゆめしま)は大阪湾の人工島だ。ドライバー不足に加え、限られたアクセスルートの工事車両による渋滞が問題視されているが、建設業界からも万博開幕までの工期に懸念の声が出た◆日本建設業連合会の宮本洋一会長が22日の記者会見で、発注前の外国展示館では設計段階にも進めていないとし、「本当に間に合うのか」と疑問を投げかけた。開催期間中の会場輸送では大阪メトロへの過大な負担の軽減が重要なテーマだ◆機運醸成も大事だが、工事期間も含めて安全面をおろそかにすることはできない。日本国際博覧会協会には工期管理と安全対策の道筋を示してほしい。(木)

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