透明感ある歌声 ダイナミックに 竹川美子が20周年記念曲「汐騒」

 コロナ禍規制も解けて、6月から全国でのキャンペーン活動を再開したのが、デビュー20周年記念曲「汐騒(しおさい)」を歌う広島出身の演歌歌手、竹川美子(たけがわみこ)だ。6月の「大阪発・流行歌ライブ」に出演した際に話を聞いた。

 ヒットメーカーの巨匠作曲家、叶弦大に師事し内弟子生活6年をへて、2003年岩手・北上市が舞台の「江釣子(えづりこ)のおんな」でデビューしスマッシュヒット。10年目にのどを傷め歌えなくなった期間が約1年も続くつらい経験もあり、今の彼女には支えてくれた人々への感謝と歌える喜びが全身に満ちている。

 「流行歌」ステージでも、いきなりにぎやかなドンパン節で登場して場内の手拍子をつかみ、1955年菅原都々子のヒット曲「月がとっても青いから」や、坂本冬美が2008年秋に焼酎「いいちこ」CMソングとして歌った「また君に恋してる」とジェットコースターのように変幻自在に歌い上げ、約200人の演歌・歌謡曲好き来場者にしっかりと存在感を示した。

 5月に出した「汐騒」はもちろん叶の作曲。舞台は瀬戸内・香川にある沙弥(しゃみ)島。ここで柿本人麻呂が「和歌を詠んだ」と言われ、同県出身の作詩家・原文彦が、和歌をモチーフにつづった歌詞がまず完成。叶がこの詞を哀愁漂う旋律に乗せ、竹川には「メロディーをきれいに歌おうとせず、まず詩を大事に」と指導。広島市隣接の府中町で生まれ育った彼女なりに瀬戸内の島々をイメージし、透明感ある歌声で哀(かな)しみや切なさもあえて明るく表現し、ダイナミックに仕上げた。

 カップリング曲「女のみれん」は、一転してド演歌。同じく原が作詩したが、作曲の小林房継とは初の組み合わせ。演歌独特の渋さが際だっている。

 デビュー前から民謡を学んでいただけに三味線も得意。「小唄や端唄を取り入れて、和の粋さを表現できるようなステージにも挑戦してみたい」と夢は広がる。

 20周年を記念して久しぶりにカラオケ・コンテストも開催。対象曲は彼女の曲ならデビュー作から最新作までカップリングを含めシングル全曲OK。優秀者10人で来年1月、東京都内で決勝大会を開き、最優秀者1人を決定。同年春の東京で開催予定の20周年記念コンサートで歌声を披露できる。「コロナで皆さん思いっきり歌う機会も少なかったと思います。一緒に歌って楽しんでください」と、開催を心待ちしている。

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