潮騒 2023.7.18

 道頓堀川で4年ぶりに難波八阪神社夏祭りの船渡御船団を目にした。かつては天神祭と並び称される規模の伝統行事で、高津宮の舞台から望む光景は実に優美だったと伝わる◆江戸中期に途絶えていたところ、2001年に氏子崇敬者の念願がかない再興。コロナ禍では鳳輦(ほうれん)船のみで粛々と渡御が執り行われてきたが、川面に再びにぎわいが戻った◆実施が1週間後に迫る天神祭の船渡御も4年ぶりに復活する。日本三大祭りにふさわしく、その美しさやにぎわいぶりは錦絵など多くの作品に描かれている◆天神祭の代表作とたたえられる錦絵「浪速天満祭」(歌川貞秀画)は、北から南を望むダイナミックな鳥瞰(ちょうかん)図。川面を埋め尽くす船のほか、人々が随所で祭りを楽しむ様子を細密に描いた作品で、熱気あふれる臨場感を今に伝えている◆幕末に出た錦絵名所シリーズ「浪花百景」にある「戎(えびす)島天満宮御旅所」(歌川国員画)は、かつて西区川口にあった御旅所の様子を描写。明治期に現在の千代崎へ移されたが、戦後の地盤沈下で船が橋を通れず、下流の御旅所へ向かうことができなくなり現在に至る。御旅所を守る地元住民からは、かつての船渡御コースの再現を願う声も聞かれ、将来的にこちらの復活も大いに期待したい。(佐)

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