大阪ニュース

親子のSOS寄り添う 社会で考える必要訴え

2019年12月7日

 子育てに行き詰まり疲弊する親たち、暴言や暴力など不適切な養育環境にさらされる子ども、さらに低所得と長時間労働が生活から余裕と笑顔を奪い去る…。親子を取り巻く環境は厳しさを増す。親を支え、子の成長を見守る。そんな社会をどう構築すればいいのか。子どもの権利条約を日本が批准して25年の節目を迎えた今、何が求められているのか。支援の現場から考える。

さまざまな事情や背景を持つ親子をどう支え、見守るかが問われている=大阪市内の保育園

 「よく来たね」。今月3日の夕方、大阪市生野区の商店街にたたずむ一軒家の「いくの子ども食堂」。寒風が吹く中、自転車で訪れた男の子を優しく迎えたのは認定NPO法人「CPA(シーパオ)O」の徳丸ゆき子理事長(49)だ。毎週火曜日にボランティアと協力して温かい食事を提供。1食100円で子どもと母親ら30人ほどがおなかと心を満たしている。

■『助けて』と言える

 始めたきっかけは、同市内で幼い子どもが犠牲になった事件だった。一つは2010年に西区のマンションで幼児2人が母親から育児放棄をされて餓死した事件。13年にも北区のマンションで母親と男児の遺体が発見された。困窮した末の餓死とみられている。

 「こんな都会の中でなんで餓死せなあかんねん」。ニュースを見て、憤りを感じた。CPAOを立ち上げ、シングルマザー100人の訴えに耳を傾けたとき、愚痴を吐き出せる場所と子どもの食事の確保の必要性が浮かび上がった。

 現在は子ども食堂の活動に加え、母親や子どもの切実なSOSにも寄り添う。緊急の場合は、自身の家で子どもを預かることもある。福祉制度の隙間でこぼれ落ちたり、支援につながらない親子は少なくない。徳丸さんは社会全体で考える必要性を訴える。

 「『助けて』と誰もが自由に言える社会にならないと、追い詰められる親は減らないし、しわ寄せはさらに弱い立場の子どもに向かう」

■一緒につながる

 保育の現場でも保育士が、さまざまな事情の親子に温かいまなざしを向ける。浪速区のある保育園に通う親の中には、貧困や孤立、子どもの発達上の特性のほか、親自身の被虐待歴や精神疾患などの理由で子育てに困難を抱えたり、自信を持てない人もいるという。

 同園ではこうした親の支援に力を入れており、「親子3代」をつぶさに見る視点が必要との考えに立つ。祖父母、親、子どもの各世代の生育歴に目を凝らすことで、見えなかった課題の背景に近づく。

 また、病院の精神科に通院する親にも付き添うなど、単に必要な機関に「つなぐ」のではなく、保育園を拠点として医療や福祉に「一緒になってつながる」ことを重視している。

 子どもの権利擁護に取り組むNPO法人「子育て運動えん」(西成区)の西野伸一理事(46)は「しんどい親ほどSOSが出せず、支援につながりにくい。『困った親』と見るのではなく、本人の困りごとに着目し、回復につなげることが大切」と語る。

8日、夜間保育の映画上映 クレオ大阪中央 現状を伝える

 日本が子どもの権利条約を批准して今年で25周年を迎えるのを記念し、ヒューライツ大阪(大阪市西区)などは8日、ドキュメンタリー映画「夜間もやってる保育園」の上映会を、同市天王寺区のクレオ大阪中央で行う。午前10時から。無料。

 夜中に子どもを預けてまで働く親と夜間保育園に偏見や批判がある中、あまり知られていない夜間保育園の現状を伝えている。

 問い合わせは電話06(6770)7200、共催のクレオ大阪中央。


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