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新規路線バスに活路 新型コロナで業界打撃

2020年3月24日

 外国人観光客需要の急激な落ち込みに加え、新型コロナウイルス感染拡大で観光バス業界は青息吐息。その中で、国内最大規模の観光バス事業者「東京バスグループ」の大阪バス(東大阪市、西村信義社長)は、大阪市内で新規路線バスの運行を相次いで始める。29日には御堂筋線(JR大阪駅−大丸心斎橋店−黒門市場)、4月1日に関西空港・大阪城・日本橋線(関空−ホテルニューオータニ大阪−なんば−黒門市場)の2路線で運行開始。「ピンチをチャンスに」とウイルス対策を強化し、安心安全への信頼確保に乗り出す。

「抗菌」「除菌」の文字が並ぶ大阪バスの路線バス。新たに分解殺菌所処理を施す=東大阪市の大阪バス車庫

 同グループは北海道から沖縄まで、全国17社で400台余りの大型バスを所有。貸し切り、乗り合いバス事業やタクシー事業を展開している。大阪バスは2002年の開業時は貸し切り専業でスタートしたが、11年にJR京都駅と東大阪を結ぶ路線バス事業に参入。大阪を軸に名古屋、東京、福知山などの特急バス、関空、伊丹、中部セントレアの空港リムジンバス運行と路線事業を拡大してきた。

 同社は地元の東大阪市と八尾市では、他の路線バス事業者が撤退するのをカバーする形で市内循環路線を開設。市内路線は赤字だが、西村社長の「税金は払うもの、補助金を受けるのは筋違い」との経営方針から、独自性を貫いている。

■今だからこそ

 貸し切りバス事業にとって、3、4月の春の行楽シーズンは、10、11月の秋シーズンに次ぐドル箱。例年なら連日ほぼ100%稼働するはずだが、今年はゼロの日が並ぶ。

 「日本中が新型コロナウイルスで失速しているさなかに、ジタバタしても始まらない。われわれグループは、かねがね“外国からの観光客だけに頼り切ってはいけない。リスク分散が必要”と言ってきた。コロナウイルス騒ぎはいずれ必ず収まるし、そうなれば国内観光事業がまず回復する。貸し切りバスの動きが止まっている今だからこそ、できることもある」と西村社長。

 同グループでは、これまでにも抗菌客席シートの採用や、車内の空気浄化にはプラズマクラスターによる除菌イオンの活用などを行ってきた。

■安心が第一

 今回は貸し切りバスが稼働していないこの時期をフルに利用し、シックハウス対策などを専門に行うニチリンケミカル社(大阪市北区)の空気触媒「セルフィール」による有害物質分解処理加工を順次バス車内に施す。これまでの抗菌や除菌から、一歩進み分解殺菌にまで踏み込む。

 西村社長は「バス利用者は以前よりずっと敏感になっている。車内はどうしても一定時間、密閉と人密集の空間になり得るので、安心して乗っていただくことが第一。そのために事業者は手間と費用を惜しんではいけない」と話す。

 新しい路線は観光事業に逆風が吹く真っただ中での開業となるが、西村社長は「大阪市内都心部の地下鉄網は確かに便利だが、階段の昇り降りがつらい人や大きな手荷物の観光客は意外と利用しづらい。路線バスが参入並列することで、お客さまの利便性はもっと高まる」と顧客獲得競争の必要性を説いている。


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