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崩壊防げ 新型コロナ禍の介護現場(下)

2020年7月14日

 「私たちが最も危惧することは介護崩壊」−。大阪市介護支援専門員連盟が5月11日、大阪市議会に切実な陳情書を提出した。介護サービスの対象者は高齢者や障害者など、新型コロナウイルスの感染症で重篤化しやすい人たちであり、「入所者に罹患(りかん)することで施設はクラスター(感染者集団)になる。一時的に介護施設を使用できなくなるだけでも多くの利用者が困るが、施設の職員数は不足しているので、職員の離職等につながれば事業再開も困難」として、急激に介護崩壊が起こる可能性を指摘した。

介護現場の厳しい状況を訴える大阪市介護支援専門員連盟の有村副会長=大阪市生野区

■経営にダメージ

 東京商工リサーチが今月7日に発表した、2020年1〜6月の全国の介護サービス事業者の倒産件数(負債総額1千万円以上)は58件に上り、介護保険法が施行された00年以降で最多となった。

 ヘルパー不足が深刻な訪問介護事業者は、前年並みの31件(前年同期32件)と高止まりし、競争が激化している通所・短期入所介護事業者は18件(同13件)と増加。地域別では東京都の7件と並んで大阪府が最多だ。新型コロナ関連の破綻は1件にとどまるが、「下半期に向けて増勢を強めることが懸念される」とみている。

 大阪市介護支援専門員連盟の有村哲史副会長は「もともと経営状態がよくないところに、(新型コロナが)追い打ちをかけた。短期療養してもらうショートステイが減り、経営にダメージを与えている」と明かす。

 通所で入浴や食事の介助、リハビリなどを行うデイサービスも、厚生労働省から「できるだけ来ないように言いなさいという指示があった」。深刻なのは、倒産は破綻した事業者の一部であり、数字として現れていない閉鎖した事業者も少なくないことだ。

■徐々に目向く

 施設入所者や訪問先の利用者の感染の不安も大きい。介護サービス事業者は、感染症対策のノウハウが不足しており、有村副会長は「区単位で研修会を行っていたが、集まりにくくなった。どういう基準を守れば良いのか、ガイドラインを出してほしい」と要望する。

 国や自治体は、遅まきながら介護現場に目を向け始めた。大阪市では要望があれば感染症対策の研修に応じ、ホームページでノウハウ動画を見ることも可能になった。

 医療従事者に配布していた雨がっぱの支給も開始したが、雨がっぱはあくまでも代用品にすぎない。国が大阪府を通して行う防護具などの助成の詳細はこれからだ。

 松井一郎市長は「介護事業者は、高齢化社会の福祉分野を支えていただいている。設備や医療装備品についても足りない場合はいつでも連絡を。守るためにできる限り対応する」と会見で決意を語った。


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