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活力湧く食事を ホームレス支援NPOが食堂開設

2021年9月10日

 ホームレスを支援するNPO法人「Homedoor(ホームドア)」が、大阪市北区で運営する宿泊施設の隣に食堂を開設した。新型コロナウイルス禍で失業者の増加が懸念される中、宿泊施設利用者に栄養豊富な食事を提供する。「活力の湧く食事を」が食堂開設の肝だ。

「おかえりキッチン」で食事する「アンドセンター」利用者。手前にはスムージー=8日、大阪市北区

 コロナ禍を反映するように、ホームドアに寄せられる相談は急増している。2020年度の相談者は前年度比1・5倍の1104人に上った。平均年齢は40・8歳。20代、30代でおおよそ半数を占め、ホームレスの若年化が進む。

 18年6月開設の宿泊施設「アンドセンター」は18部屋を備えるが、食事の提供はカップ麺やレトルト食品の域を出なかったため、隣接の倉庫を食堂に改装。今年6月1日にオープンした「おかえりキッチン」の目的は「もう一度がんばろう、そんな活力の湧く食事を提供したい」(川口加奈理事長)だ。

 「おかえりキッチン」のスタッフは、フードバンク経由で届く食材を使い、栄養バランスを考えた食事を、アンドセンター利用者に提供する。店内には1、2階合わせて25席あり、落ち着いた雰囲気が特徴。一般客も有料で迎え入れ、近くのマンション住人などが来店しているという。

 「おかえりキッチン」の機能は他にもある。アンドセンター利用者が調理の手伝いや店内の清掃を通して就労体験する。さらに、地域住民のワークショップ会場に役立ててもらうなど交流拠点にする構想もある。

 「おかえりキッチン」開設から3カ月たった9月8日、1階カウンターに着いた男性利用者へ出されたメニューの一つはスムージー。「疲れていると、甘い物は体に良い」とホームドア事務局の谷野ちひろさんは人気メニューを紹介した。

 「アンドセンター」や「おかえりキッチン」を運営する意義は、川口理事長の近著に詳しい。「雇用は流動化し、あらゆることが不確実性になった現代では、誰もがふとした瞬間に転落してしまう可能性を持っている…再挑戦が簡単にできるようなセーフティーネットがあれば」とつづっている。

 ホームドアは、公式ホームページで運営資金の寄付を募っている。


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