大阪ニュース

コロナ禍で再編急加速 関西スーパー争奪戦 

2021年9月27日

 阪急阪神百貨店を運営する流通大手エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング(大阪市)は関西を中心に店舗展開する関西スーパーマーケット(兵庫県伊丹市)を子会社化すると正式発表した。直後に、買収意向を示していた首都圏基盤のディスカウントスーパー、オーケー(横浜市)が反対を表明。争奪戦の背景にはスーパーを軸にした小売業界再編の動きがあるが、新型コロナウイルスの影響で急加速した。

関西スーパーはエイチ・ツー・オーリテイリングへの傘下入りを目指す

■東西対決

 H2Oは現在約11%の株式を保有し、筆頭株主となっている関西スーパーを株式交換で実質子会社化し、経営統合する方針を示した。来年2月までに持ち株会社を設立し、傘下の食品スーパー事業を手掛ける阪急オアシス、イズミヤと調達や商品開発で連携することで、競争力強化が図れる点をメリットとしている。会見では荒木直也社長が「関西最強の連合を目指す」と語った。

 両者に「待った」をかけたのが関西スーパー株を約7%保有している大株主のオーケー。関西進出の意向を示し、すでに6月に買収を提案していた。H2O側の動きを受け「株主利益の最大化の観点から公正に比較検討頂けたのか」と反対を表明した。

 関西スーパーは24日に「ディスカウントストアを前提とするオーケーの店舗運営ではブランド価値が毀損(きそん)する」と反論。H2Oグループに入れば、スーパーの枠組みを超えた相乗効果が期待できると主張し、「H2O案が最善の選択」との見解を示した。

 関西スーパーとしては買収を仕掛けてきたオーケーに対し、「ホワイトナイト」で“相思相愛”のH2Oと手を組んだ形だ。3社の動きは現在も続いており、統合するのがどちらになるのか、10月末の臨時株主総会で決着する。

■合従連衡

 背景にはスーパーをはじめとする小売業の合従連衡の歴史がある。スケールメリットが働きやすい業態で、古くはダイエーなどが中堅スーパーを買収して業容を拡大した。近年でも人口減少による「パイ」の縮小に過当競争が加わり、流れは変わらない。

 神戸国際大の中村智彦教授(地域経済論)は「これからのスーパーはバックヤードの共有化が鍵」とし、デジタルトランスフォーメーション(DX)などの技術によるコスト削減が、大手スーパーの今後を左右すると指摘する。

 DX化の際に必要なのは店舗数。「10〜20店舗ほどのスーパーでは効果は限定的。大きければ大きいほどメリットは高い。最終的には表の店舗は違っていても、裏に回ると全く同じというスタイルになるのでは」と分析する。

 H2Oもオーケーも数年前から関西スーパーとの連携を進めてきた。3社に限らず、各社の統合の動きをさらに後押ししたのが昨年から続くコロナ禍だ。巣ごもり需要でインターネット販売が広がり、店頭販売を軸とするスーパーには「外圧」となった。業績も好調だったことから、財務的に余裕がある間にポストコロナの態勢を固めたい意向が表面化している。

 中村教授は中長期的には配送網まで含んだ形でのスーパーの姿も予測。「それにはさらなる巨大な店舗ネットワークが必要。今後も統合の動きは続くのではないか」とみる。

■ニーズすくう

 首都圏と関西を中心にスーパーを展開するライフコーポレーションはネット通販大手アマゾンと提携。自店舗で扱う生鮮食品や総菜を最短2時間で届けるサービスを行っている。当初は首都圏のみだったが、徐々に拡大し、現在は大阪市内全域を含む7都府県で実施している。

 同社では12年からネットスーパー事業を行ってきたが、電子商取引(EC)事業のノウハウを吸収し、業務拡大する目的で19年からスタートさせた。コロナ禍前からの準備が功を奏し、巣ごもり需要で売り上げは好調だった。

 スーパーとしては対面販売を基本とし、従来の役割に軸足を置くが、広報担当者は「お年寄りや小さなお子さんのいる家庭など店舗に足を運びにくい人のニーズをすくい上げるのが主眼」と今後もネット販売のエリア拡大を考えている。


サイト内検索