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コロナ禍で登録8.5倍 就農希望者と農家マッチング

2021年11月26日

 就農希望者と働き手を求める農家をつなぐマッチングアプリが人気を集めている。スマートフォンを使って無料登録でき、当人同士が直接交渉できる手軽さが特徴だ。マイナビ(東京)が運営する「マイナビ農業」のアプリ「農mers(のうマーズ)」では、昨年1月からの1年間で総ユーザー(雇い手と働き手)が8・5倍と急増。収穫時のアルバイトをはじめ、農業に触れる“ファーストステップ”として存在感を増している

栽培中のニンニクを確認する田中さん。「周囲の農家さんにもアドバイスをもらってます」と笑顔=松原市

 松原市若林。住宅地を抜けると大和川との間に田畑が広がる。近くを通る高速道路の騒音も遠い。田中脩平さん(27)は、今年8月からここにある約30アール(3千平方メートル)の畑でショウガやニンニクを栽培している。

 「日が昇れば仕事をして暮れたら帰る。会社員時代とは180度違う健康的な生活です」。田中さんは照れくさそうに笑う。

 大学卒業後車販売店に就職したが、残業続きの日々に迷いが生じた。「このままサラリーマンでいいのか。今後のビジョンを見つめ直したい」。テレビで見た農業を思い出し、今年3月に転職活動の一つとして「農mers」に登録。すると翌日、松原市内で木工工房を営む中島信太郎さん(40)から連絡がきた。

 中島さんは、今年1月に農地取得と同時に「農mers」に登録し、人材を探していた。「働き手が若く、マッチングが圧倒的に早い」と中島さん。田中さんは休日に収穫のバイトを経て8月に正社員として採用。農業事業全般を任されている。

 「農mers」は、農業従事者の減少を受けて2019年9月にサービス開始。翌年1月の働き手の登録者数は1293人だったが、1年間で1万2753人と10倍に増えた。また、雇い手は関東や中部の都市農業を中心に今年10月末で3850件の登録がある。

 急増の背景には、新型コロナ禍での働き方や価値観の変化があるという。マイナビの池本博則農業活性事業部長は「ワーケーションをはじめ、若者を中心に地域に目を向け始めた。農業に興味がある人が産地に行き、生産者にふれるきっかけにしてほしい」と話す。

 田中さんは、無農薬で化学肥料を使わない農法を実施。農業事業は3カ年計画で進められており、「規模を広げながら根気よくやっていく。(消費者に)健康的な野菜を届けたい」(田中さん)。新たなビジョンは未来に広がっている。

ミニクリップ

 農業従事者の減少と高齢化 農林水産省の「食料・農業・農村白書」によると、農業従事者は2010年は205万4千人、20年は136万3千人で、10年間で69万1千人減少。49歳以下の青年層においては6万6千人減少している。平均年齢は67.8歳(20年)。


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