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キャバレー王愛した日本画 絵画80点を展示

2021年11月29日

 全国でキャバレーチェーンを展開し、近代日本絵画の蒐集家(しゅうしゅうか)としても知られる実業家、福富太郎氏(1931〜2018年)に迫る展覧会「コレクター福富太郎の眼」が、大阪市阿倍野区のあべのハルカス美術館で開かれている。コレクションの中からよりすぐりの絵画80点を展示。監修を務めた明治学院大の山下裕二教授は「間違いなく戦後最高のコレクター」と評価する。来年1月16日まで。

福富氏のコレクションからよりすぐりの作品が並ぶ展示会場

 福富氏は、16歳で銀座のキャバレーのボーイとなり、下積みを重ね、31歳でキャバレー「銀座ハリウッド」をオープン。全国に44店舗のキャバレーを展開し“キャバレー王”の異名をとる傍ら、有名、無名にかかわらず自身が良質と信じた美術品の蒐集にも力を入れた。

 コレクションのきっかけになったのが近代日本画の巨匠、鏑木清方。父親が大切にしていた清方の作品を空襲で焼失してしまった体験が原点となり、1964年頃から清方作品を本格的に蒐集。本人とも親交を持ち、清方研究には欠かせないコレクターとして注目を集めた。

 同展では、長らく所在が分からず福富氏のコレクションにより清方自身が再会でき喜んだという「薄雪」(17年)や、人魚を扱った異色の代表作「妖魚」(20年)など13点を紹介している。

 コレクションの中核を成す美人画からは、近松門左衛門の『心中天網島』を題材とした北野恒富の「道行」(13年頃)や、恒富に私淑した島成園の「春の愁い」(15年頃)などを展示。

 近年再評価されている渡辺省亭や小村雪岱の作品、黎明(れいめい)期の洋画作品も並ぶ。

 福富氏と親交のあった山下教授は「福富氏ほど作品そのものにほれ込んで集めた人はいない。これまで美人画コレクション展はあったが、今回は初めてコレクションの全貌を知っていただくいい機会になる」と話していた。


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