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平和伝える迫真の一題 三代目桂花団治さん

2021年12月24日

 太平洋戦争末期の大阪大空襲を題材に、三代目桂花団治さん(59)が創作落語「防空壕(ごう)」を完成させた。台本には、実際に大戦末期の空襲で犠牲になった二代目が登場する。「来年で還暦。防空壕を知っているかというと、知らない世代」。落語を演じられる喜びをかみしめつつ、平和について伝えようと高座に臨んでいる。

「防空壕」を熱演する三代目桂花団治さん

 二代目が活躍したのは、上方漫才草創期のコンビ「エンタツ・アチャコ」と同年代の昭和初期。1944年に花団治を名乗ったが、第4次大空襲があった45年6月15日、天王寺区で米軍の急襲に遭った。遺族によると、防空壕の入り口付近で亡くなっていたという。襲名の翌年、48歳だった。

 その名跡を2015年、70年ぶりに継いだのが桂蝶六さん(当時)だ。初代のひ孫から縁が持ち込まれたのがきっかけで、一門の四代目桂春団治さん(73)に襲名を持ちかけられた。その二代目が空襲で亡くなったことを知り、新作をつくり上げた。

 戦後、夢で空襲にうなされた落語好きの旦那がかつての防空壕を訪ねると、「落語家の幽霊が出る」と諭す持ち主。うっかり穴へ落ちてしまったところ、空襲で亡くなったという二代目花団治の霊が現れる。「オチを聞くと笑い死にする」と事前に聞かされていたが…。

 大阪市中央区の大阪国際平和センター「ピースおおさか」で今月、太平洋戦争の開戦から80年で平和を祈念する寄席があり、三代目花団治さんが「防空壕」を初めて披露した。空襲がテーマという重い演目だが、軽妙な語り口は悲壮さを感じさせない。

 「さぞかし無念やったやろなぁ」。言葉の端々に実感を織り交ぜつつ、迫真の一題を演じ切ると聴衆からは大きな拍手が湧き起こった。

 この日は春団治さんとの公開対談もあり、春団治さんは海軍飛行予科練習生(予科練)出身で、特攻隊員だったという父にまつわるエピソードを紹介した。花団治さんは「落語の精神は絶対に平和ですよね」と応じていた。

 「防空壕」は、来年1月6日の繁昌亭夜席でも口演することになっている。


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