「リニューアルをきっかけに全館売上が前年同日比446%を記録することができました」。こう言って胸を張るのは弁天町の大型複合商業施設「大阪ベイタワー」の館長を務める近藤啓太さん。同タワーを再生した「仕掛け人」に開発の舞台裏と弁天町のポテンシャルについて取材した。
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行政手続きの関係で開業が遅れたが、実はロピアが関西進出を決めた一号店は弁天町だった |
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大阪ベイタワーの再生に取り組む近藤啓太さん |
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山口照美港区長(右から4人目)らを迎えて、4月23日に行われた大阪ベイタワーのリニューアル記念式典 |
多くの大阪人にとって弁天町といえば「大阪市が再開発に失敗した、あの“オーク200”のところでしょ」というネガティブなイメージがある。実は記者も今から10年ほど前、会社の会合で毎月当時の「ホテル大阪ベイタワー」を使っていたのだが、はっきり申し上げてにぎわっているとは言えず「なんだか寂しい施設だなあ」という印象を持っていた。
今年4月、久々に同タワーを訪れた私はその変化に驚かされた。子連れのファミリーや学生など若い人たちの姿が目立ち、芝生が敷かれた広場では子どもたちの笑顔が弾けていた。近藤さんに初めて会った時に、思わず「すごく明るい雰囲気に変わりましたね」という言葉が出たが、これは私の偽りのない正直な感想だった。
にぎわい創出の起爆剤となったのは、昨年4月にオープンした大型食品スーパー「ロピア」だ。精肉店が発祥の強みを生かし、高品質な生鮮食品を大容量かつ割安な価格で提供することから「日本版コストコ」とも呼ばれている。「ららぽーとTOKYO-BAY」(千葉県船橋市)がリニューアルの核テナントとしてロピアを迎えるなど、首都圏で爆発的な集客力を誇っている。
今でこそ関西で着々とオープンを進めるロピアだが、当初、関西方面への進出は「全く頭になかった」という。商談のテーブルにさえついてもらえない相手に「データとパッション」の両軸で熱烈なアプローチを繰り返し、関西進出を決意させたのが近藤さんなのだ。
「JRとメトロ両方合わせて1日の乗降客数が約11万人、半径2キロメートル圏内の人口が約15.6万人、駐車場が1065台、そして施設が駅と連結している利便性」―。これらのデータと「地元の人たちの生活をより豊かに、彩りあるものにしたい」という情熱で“恋人”を射止めたのである。
「“弁天町をキタ・ミナミに次ぐ副都心にする”という大阪市の目の付け所は間違っていなかった。JRとメトロの両方が通り、大阪駅や本町駅まで10分もかからない立地は他にはない。適切な管理・運営体制と個性的で魅力あるテナント誘致、価値を高めるテナントミックスをすれば自ずと輝いていく」と語る近藤さん。
今年4月には再開発の集大成となる、店舗の大規模リニューアルを実施。関西初出店の「湘南パンケーキ」、「ogawa GRAND lodge」、大阪市初出店の「WAY書店」など計8店舗がオープンした。
「ホテルと温浴施設は広域集客がメインだったが、今回のリニューアルで“日常使い”ができるお店をそろえることができた。ようやくこれがスタートライン。もっと魅力溢れる街になるように力を尽くしていきたい。弁天町はポテンシャルの塊ですよ」。近藤さんの目は少年のように輝いている。
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