【清田隆之 NOが言えない俺たち】「俺も我慢したんだから」。 先輩や上司が助けてくれない負の連鎖

  •  清田隆之さん
  •  26歳で自殺した医師の遺族が病院側を訴えた訴訟の第1回口頭弁論で、大阪地裁に向かう母親(中央)と弁護士=2024年3月、大阪市

 ニュースサイト「47NEWS」から3月下旬、【「もう限界です」残業207時間、100日休みなし…医師は26歳で命を絶った 上司は「俺は年5日しか休んでいない」と豪語 医者の「働き方改革」は可能か】と題した記事が配信されました。

 過重労働によって若き医師の心身がむしばまれていったこと、家族からの心配にも応じられないほど追い詰められていったこと、助けを求めた上司から逆に説教されたこと、その果てに一人の命が失われてしまったことなど、読んでいて本当に苦しくなるような内容の記事でした。

 無理のない仕事量や勤務時間、そのための人員確保、相談窓口や法的な枠組み、構造的な問題の見直し、社会全体での理解促進など、そういったもろもろが整備されながら働き方改革が進めばいいなと願うばかりですが、本稿では個人的にとりわけ重く響いた、上司である指導医の言葉に焦点を当ててみたいと思います。

 「忙しくて勉強する時間がないと相談したら、『俺は1日20時間働いていた。年に5日しか休んでいない』と言われ、説教された」

 記事にはこうありました。たった数行の短い記述であり、上司の意図も、亡くなった医師に与えた影響も、これだけ...

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