いびつな政治家世襲、親にも子にも気の緩み

  •  香山リカ

 内閣総理大臣秘書官の岸田翔太郎氏が、公邸内で私的な宴会を開催した際に不適切な写真を撮影したことが発覚し、更迭された。言うまでもなく、岸田元秘書官は岸田文雄首相の長男である。なぜこんなことが起きたのだろう。

 その前に、首相秘書官とはどういう仕事かを確認しよう。安倍政権時代、女性としてはじめてそのポストについた山田真貴子氏は、首相官邸のホームページでこう語っている。「私は現在、安倍総理大臣の秘書官として、総理官邸で勤務しています。総理官邸は、あらゆる情報が集中し、内政、外交の重要方針を決め、推進していくところです」。これだけでもたいへんに重要な任務ということがわかる。

 当然のことながら、仕事においては身内の甘えは許されるものではない。家族で病院を開業している医師もいるが、多くは互いに一定の緊張感を保って診療にあたっている。そうでなければ患者さんの命にもかかわりかねないからだ。

 首相秘書官にも本来、それと同じかそれ以上の緊張感が必要なはずだが、どこかで親側に「政治家として跡を継がないと言われたら困る」という気持ちがあり、子側もその“親の弱み”を察して気をゆるめたまま職務についていたのではな...

残り 436 文字
このページは会員限定コンテンツです。
会員登録すると続きをご覧いただけます。
無料会員に登録する
会員プランを見る
会員登録済みの方
この機能はプレミアム会員限定です。
クリップした記事でチェック!
あなただけのクリップした記事が作れます。
プレミアム会員に登録する ログインの方はこちら

トップニュース

同じカテゴリーの記事