大阪発 羅針盤

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「爆買いに陰り」は本当か? 中国人客増も、購買単価下がる

2016年5月29日

高額品から日用品に

心斎橋筋を歩き免税店に向かう外国人旅行客=25日、大阪市中央区

 日本百貨店協会が発表した4月の免税品売上高は、3年3カ月ぶりに前年実績を下回った。大きな要因として、訪日中国人旅行客の「爆買い」が減ったとする。一方、1〜3月に大阪を訪れた外国人観光客(インバウンド)は前年に比べ大きく伸びており、中国人観光客は約2倍に。「爆買いに陰り」は本当なのか、周辺を探った。

 同協会によると、全国百貨店の4月の免税品売上高は前年同月比9・3%減。前年実績を下回ったのは2013年1月以来だ。

 理由としては、中国政府が海外で購入した商品に課す関税を引き上げたことや最近の円高傾向で、訪日中国人旅行客の「爆買い」が減ったことを上げる。

 爆買い需要はピークを過ぎたのか。

■肌感覚では

 大阪市中央区の心斎橋筋商店街。旗を持ったガイドに案内された中国人旅行客の団体が百貨店の免税店に入っていく。ここにいると、爆買いはまだまだ続いていると感じる。

 大阪観光局の推計によると、今年1〜3月、大阪を訪れた外国人観光客は203万人(前年130万人)。このうち、関西国際空港からの入国者は150万人(101万人)。国別では80万人(42万人)が中国からだ。

 一方、同観光局が定期的に調査している、大阪での1人当たりの買い物消費額を見ると、3月時点は中国人は7・9万円(昨年7・8万円)で全体平均6・4万円(6・1万円)を上回る。ただし、1月時点は6・7万円(8・5万円)と落ち込んでいた。

 中国人観光客は増加しているのに、買い物消費額が減っている。これは何を意味するか。

■所得層に幅

 大阪商工会議所は3月時点で、爆買いの効果に陰りが出たのでは、とみていた。

 1〜3月期の経営・経済動向調査の中で、インバウンド効果について春節時のヒアリングを基に「高級品を買うケースは見られず、かつての伸びは止まった」との回答を得た。

 経済担当の田中孝治課長は「客単価が落ちている」と変化を指摘する。

 これまでは高級ブランド品を2、3個購入したり、転売目的の大量買いもあった。

 当時、日本で爆買いしていたのは中国の高所得者層。それが関税の引き上げで海外に出ても高級品を買いづらくなった。また、ビザ緩和で中間所得層が来日するようになり、購買単価が下がっている、と分析する。

 大阪観光局も「高額品から化粧品や日用品にシフトしている」とみている。

 よって百貨店が影響を受けるのだが、協会は「本来の姿に戻っている」と冷静だ。

■変化に対応

 大阪は爆買いの恩恵を受けてきた。関空のLCC便も増え、ホテル稼働率も依然として高い。外国人観光客の満足度が高く、リピーターも増えている。

 観光局は中国人観光客の消費額について、全体で見るとほぼ横ばいとの判断で、溝畑宏局長も「大阪はあまり影響が出ていない」とみる。

 市観光部も爆買いへの判断については「もう少し推移を見たい」という。

 仮に傾向が変化しようとも、それに対応していくのが、大阪の街だ。

 溝畑局長は「ナイト観光を進めたり、堺など周辺市と連携して滞在日数を増やし、『消費の時間軸』を伸ばしていくのが今後のテーマ」としている。