鳥取市の夏の風物詩「鳥取しゃんしゃん祭」の一斉傘踊りが14日に中心市街地で開催されるのを前に、祭りに参加する連の踊り子たちの練習に熱が入っている。新型コロナウイルスの感染拡大による中止、延期、無観客開催を経て、4年ぶりに待望の市街地開催が実現した。指導者不足で解散した連もあるなど、参加人数はコロナ禍前の約半分にとどまるが、「祭りの火を絶やさない」という強い思いを胸に本番に挑む。
気合十分
結成9年目の常連チーム「百花繚蘭(ひゃっかりょうらん)」(池本公貴代表、56人)には本年度、例年より10人ほど多い12人が新規加入した。4年ぶりの市街地での開催に池本代表は「これまでとは気合が違う」と笑顔で語る。
同連には医療従事者や保育士など、感染防止のために21、22年は参加できなかったメンバーもいた。感染不安のため20年から休会し、今年6月から練習を再開した吉村愛音さん(28)は「久しぶりの開催なので、見る人も自分自身も楽しみたい」と、4年分の思いを胸に練習に打ち込む。
本年度加入した桜ケ丘中2年の広瀬栞里さん(13)も「見る人に、自分も踊りたいと思えるような踊りを見せたい」と気合十分。
池本代表は「しゃんしゃん祭は街中というのがポイント。近くで見られる祭りの雰囲気を楽しんでほしい」と話した。
次世代へつなぐ
県立中央病院の有志の連「中病連」は、4年ぶりの参加を決めた。病院の掲示板で踊り子を募った際には少人数しか集まらなかったが、踊りの指導役で10年前からほぼ毎年参加している診療放射線技師の福本晃さん(32)が近くの部署の職員に声をかけ、最終的に約40人での参加となった。
運営や事務作業など、やり方が分かるメンバーは限られている。しゃんしゃん祭への参加を途絶えさせず、次世代につないでいくためにも「声を上げないといけないと思った」と福本さん。病院では毎日、夕方に練習しており「久しぶりの祭りなので、全員で楽しく踊り、沿道の皆さんにも笑顔になってもらいたい」と意気込む。
一方、本来の形に戻るものの、今年の参加連、人数は82連、約2100人と、コロナ禍前の2019年(111連、約3800人)には及ばない。中止、延期などの影響で数年出場していない連もある。
鳥取しゃんしゃん祭振興会の西垣豪副会長は「階級検定を持つ人は、指導者が不足している連に教えるなど、誰もが参加できる環境を整えたい」と先を見据えた。