第37回鹿野ふるさとミュージカル鳥取公演が25日、鳥取市民会館であり、地域伝承を基にした「音楽劇さくら姫物語」が上演された。600人以上の観客が、役者の堂々たる演技と美しい音楽との融合に引きつけられ、ミュージカルの世界に没頭した。
鹿野町民音楽祭実行委員会と鳥取県ミュージカル連盟の主催で、4年ぶりに開催。「さくら姫物語」は鳥取市鹿野町に古くから伝わる桜姫伝説を基に制作した音楽劇で、平安時代の気多郡(旧気高郡)にいたとされるさくら姫と都の加知弥親王の切ない恋物語を、鹿野町の地元住民らが中心となって演じた。
コーラス隊やオーケストラ、米子市のミュージカル劇団なども出演し、総勢約90人の大舞台。ふるさとで生きることを選んださくら姫と、さくら姫への思いを断ち切ることのできない親王などそれぞれの心情が美しい音楽や歌声、踊りに乗せて表現された。
鹿野学園で教諭を務める坂口英樹さん(59)は「学園の児童も出演するので見に来た。よく練習したと思わせる仕上がり。いろんな工夫が感じられる演出でよかった」と笑顔だった。
ミュージカル初挑戦で主演のさくら姫を演じた山本三華さん(27)は「“私だけのさくら姫を演じる”という気持ちで臨んだ。お客さんに褒めてもらえてうれしかった」と達成感をにじませた。