「練乳シュー」3月末で生産終了 大山乳業、半世紀以上の歴史に幕

 鳥取県民に「練乳シュー」の愛称で親しまれた、大山乳業農業協同組合(琴浦町)の人気商品「白バラシュークリーム(6個入)」が3月末で生産終了する。1970年3月の発売開始以来、全国的にも珍しい「パックのシュークリーム」として愛されてきた、定番おやつが半世紀以上の歴史に幕を閉じる。

 自社製の練乳と牛乳を使った滑らかな口触りのクリームが特徴で、個包装が主流の今では珍しいプラスチックパック入りの6個を家族や友達とシェアできるのも愛された理由の一つ。スーパーの定番商品にもなり、これまでの総売上額は推定で30億円以上に上る。

 同組合販売部営業課の榎田勝文課長は、消費行動の変化に合わせて同社シュークリーム商品にも新たな選択肢が増えている中、パック包装の機械の老朽化や生産効率が悪いことなどから「練乳シュー」の生産終了を決断したと明かす。個包装販売もパックの終売とともに売り場から姿を消す。

 生産終了の発表後、会員制交流サイト(SNS)の公式アカウントやメールには惜しむ声や再販を求める声が相次ぐ。公式オンラインストアでの今月の注文数は600件、千パックを超え、前年同月比50倍の受注個数となっている。琴浦町保の直売所、カウィーのみるく館でも売れ行きが好調で、休憩時間に訪れたという会社員の小原陽治さん(53)は「子どもの頃からの思い出の味がなくなるのは本当にさみしい」と話した。

 再販について榎田課長は「生産終了の反響が大きく驚いている。内部で検討しようと思う」と可能性を示すが、3月29日の最終製造日まで残り1カ月。同課の森長彰洋さんは「家族3世代で愛していただいた商品。生産終了前に思い出の味をもう一度楽しんで」と呼びかける。

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