マイナンバーカードへの信頼が揺らいでいる。マイナンバーと公金受取口座をひも付ける際、誤って別人名義の預貯金口座を登録してしまうミスが相次いでいるのだ。カードを保険証として利用する「マイナ保険証」でも同様に別人情報が登録されるトラブルが続いた。
個人情報に関する意識は、ここ数十年でもっとも変わったもののひとつと言える。「昭和の時代には電話帳を見れば名前も住所も丸わかりだった」と言う人もいるが、いまは医療機関でも個人情報を守り、誤らないのは最重要事項だ。私も診察室では何度も氏名や生年月日を確認し、目の前のパソコンのカルテに表示されている名前などと一致しているかに細心の注意を払っている。
もし、ある患者さんの検査データを誤って別の人にわたしてしまったりしたら、それだけで大きな社会問題にもなりかねない。あまりに何度も確認しすぎて、かえって患者さんから「先生、私のことも覚えてないの?」と不満をこぼされることもあるほどだ。
これが病院なら、私企業ならと考えると、マイナンバーカードの一連のトラブルは発行している組織の信用が失墜しかねない問題だ。政府の場合、さらに責任は重いはずだが、近年、政府に少々...