半年ぶり1ドル=140円台 今後は6月発表の毎月勤労統計に注目

  •  永浜利広(第一生命経済研究所首席エコノミスト)

 先週、円安が加速しドル円レートが昨年11月以来約半年ぶりに1ドル=140円台を付けました。きっかけは、米国の経済指標が上振れたことでした。具体的には、毎週木曜日の夜に公表される米国の新規失業保険申請件数が過去にさかのぼって大幅に下方修正されたのです。

 これによって、数カ月前には7月にも米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに転じることを織り込んでいた市場も、逆に7月までに追加利上げが行われることがコンセンサスとなり、これが米金利上昇を通じたドル高の原動力となりました。

 そして、物価の安定と雇用の最大化を使命とするFRBが追加利上げをする期待が高まり、米国の金利上昇を通じてドルが買われたことで1ドル=140円の節目を突破しました。

 なお、米国では政府債務の上限問題の懸念もありますが、過去の経験ではほとんどが土壇場で暫定合意に至っているということもあり、市場はそこまで警戒していませんでした。このこともドル買いの安心材料になっていたようです。(その後28日にバイデン大統領と野党・共和党が上限停止で合意)

 今週は、米国の雇用統計をはじめとした重要な経済指標の公表が相次ぎますので、ドル円レート...

残り 698 文字
このページは会員限定コンテンツです。
会員登録すると続きをご覧いただけます。
無料会員に登録する
会員プランを見る
会員登録済みの方
この機能はプレミアム会員限定です。
クリップした記事でチェック!
あなただけのクリップした記事が作れます。
プレミアム会員に登録する ログインの方はこちら

トップニュース

同じカテゴリーの記事