昭和平成を代表する大名人
去る６月２９日、釣り界の至宝、大西満さんが８３年の生涯を閉じた。この釣れ釣れ草が千回以上維持できたことも大西さんのアドバイスや情報提供のおかげであると感謝に堪えない。単に釣りだけではなく、その生き方まで示唆に富む偉大な恩師だった。
亡くなられた直後に、公に大西さんについて語ることをためらう自分を励ましながら、多少でも書くに値する一文をささげたい。
誰もが認める
大西さんは、アユ釣り、アマゴ釣り、チヌかかり釣り、グレ釣り、ハエ釣り、船釣りなど多くの釣種においても一流のマルチプレーヤーで、そのセンスは誰もが認める名釣り師であった。アユ釣りにおいては、昭和４９年から５期連続日本一に輝き永世名人の称号を獲得した。その称号ゆえに「アユの…」というイメージが大きいが、かかり釣りでもハエ釣りでも日本一、グレ釣りでも準優勝と超人的な戦歴を誇っている。
とにかく、魚釣りの世界は、自分が説明できない事象（自然現象や魚の習性など）は、すべて非科学的な人間に都合のいい想像の世界で論じられてきた。そのようなあいまいな伝承などを可能な限り合理的、科学的、検証的にアプローチした第一人者だった。
責任感が命を
数々のエピソードや伝説に近い逸話もこの字数では書き切れないが、大西さんの責任感、親切心が命を救った一例がある。御巣鷹山に墜落した日航１２３便への搭乗を回避したことを取り上げなければなるまい。
当日、前橋で予定より早く講習会を終え、家人に予定より早い便で帰ることを伝えた。しかし、講習会に参加していた大ファンが高価なアユ竿（さお）が固着したことを相談。社員ではないが、メーカーの顔として捨て置けぬ責任感ゆえに、前橋を出る時間が遅くなり、満員１２３便のキャンセル待ちに並ぶことになった。しかし、いったんは並んだが、急ぐ旅でもないし、困っている後列の人に譲って他社便を利用した。他社便への振り替えを伝えていなかったため、大騒ぎの渦中に帰宅した、と聞いた。
講演料を固辞
かつて鳥取県日野川の源流域の青年たちが清流を守るための活動として、当時、河川保護や水質保全に高い見識を持つ大西さんにこのイベントに際し講演を依頼した。しかし「こんな純粋な気持ちの人たちからもらうわけにはいきません」と、講演料を固辞。青年たちは、その資金を意味あるものにしようと、大西満の名を冠したアユ釣り大会を通して日野川を知ってもらおうと企画した。昭和６３年より３０回に及んだ「日南の水を守る会」主催により「大西満杯争奪鮎（あゆ）友釣り大会」が開催されるようになった。
ご一緒した時にはよく撮影係を仰せつかった。釣り上げた魚とうれしそうに写真に納まる大西さんの笑顔が忘れられない。
大西満さん、どうか安らかにお眠りください。合掌。
週末のイチオシ気配
■船①■明石・兵庫
明石沖に出船するおいしいマダコ０．３～２．０キロ５～１５ハイ期待できる。タコエギを使ったサオ釣り。オモリ５０号。要予約。▽丸松乗合船＝電話０９０（６９８１）４６２０
■船②■若狭本郷・福井
キス上昇気配。湾内でキス１７～２８センチ４０尾前後。天秤仕掛け２～３本針９号。エサは石ゴカイと青イソメ併用。要予約。▽はやし渡船＝電話０７７０（７７）０５９１
■船③■阿尾・和歌山
イサギそろそろ最終。連日、３０～４０センチ３０～４０尾程度が竿頭。ハリス３号、テンビン３本針、オモリ１２０号。要予約。▽岬丸＝電話０７３８（６４）２９７５
■船④■泉佐野・大阪
オニアジ期待できる。淡路沖で同魚３０～４５センチ１０尾前後。胴突き３本針。オモリ４０号。潮により対象変えるので確認のこと。要予約。▽海新丸＝電話０７２４（６９）２３３２
■磯①■切目崎・和歌山
底物期待。例年、この時期にイシダイ、イシガキダイ複数尾上がる。イシダイ針１５号、オモリ３０号。エサはウニ。アタリ頻繁。▽庄門丸＝電話０７３８（４３）０５１７
■磯②■尾鷲・三重
グレ２５～３５センチ５～１０尾のほか、外道にイガミの大型やマルハゲ、アコウ、ガシラ等お土産多彩。エサはボイル。▽榎本渡船＝電話０５９７（２７）２２１１
■筏①■堂の浦・徳島
ウタセエビのエビ撒き釣りがおもしろい。マダイ（３５～６５センチ３～１０尾）に加えてスズキ（６０～８０センチ１～３尾）が見込める。▽斎藤渡船＝電話０８８（６８８）０４５３
■筏②■衣奈・和歌山
連日、チヌ４０センチ超がコンスタントに姿を見せるようになった。４日、マリーナ筏で３５～４５センチ５尾。エサはオキアミ、丸貝とサナギ。▽中長渡船＝電話０７３８（６６）０６５７
■波止■北港・大阪
落とし込みチヌ絶好調。イガイやカニ使いの落とし込み、エビ撒き釣りともに好釣果続出。５日、舞洲の落とし込みで同魚２５～４８センチ４７尾の大釣りが出た。▽ヤザワ渡船＝電話０６（６５７３）７７１２
（大阪日日ＡＰＧ 松田勝也）
