コラム

[潮騒] 2月7日(月)

2022年2月7日

 ある将棋の催しでのこと。8歳の少年がトッププロとハンディキャップありで対戦。プロ優勢で進んだが、終了時刻が迫り「引き分けにしようか」と持ちかけられると、人目もはばからずに泣きじゃくった。藤井聡太四冠(19)にまつわる有名なエピソードだ◆後日、当の対局相手である谷川浩司九段(59)が述懐している。無類の負けず嫌い。昨年はNHKのテレビ棋戦で敗れ、解説者が声を掛けるまで机上に突っ伏したまま動けなかった。デビュー当時は、膝を強くたたいて悪手を悔しがるシーンもあった◆八大タイトルの一つ、王将戦七番勝負が佳境を迎えている。防衛を目指す渡辺明三冠(37)に開幕から3連勝し、11日に始まる第4局で史上最年少五冠を懸ける◆現実の飛躍が早すぎ、将棋を題材にした小説「りゅうおうのおしごと!」の作者が「設定が追い付かない」とテレビ番組でこぼしていた。棋界最高峰、名人位への挑戦権を争う「順位戦」ではトップ棋士10人が参加できる一流の証し、A級への昇級にも王手をかけた◆一方、順位戦では、羽生善治九段(51)が29期在位したA級からの陥落が決まった。国民栄誉賞も受章した第一人者。一ファンとしては、A級で両雄の戦いが見たかったという思いもある。(藤)


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