金井啓子の伴走で伴奏

やるべきでなかった“反省会”

2021年12月20日

捨て身「身を切る改革」はどこへやら

 大阪市の松井一郎市長をはじめ維新所属の府内首長や市議ら30人が12月2日夜、大阪・心斎橋の焼き鳥屋で宴会をやったと写真週刊誌『フライデー』が報じた。この記事の反響は大きく、テレビの情報番組も同記事を引用し、松井市長らの行動を批判的に伝えた。

 新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いたことから、政府も緊急事態宣言を解除している。大阪市内では以前のように人の流れが戻り、繁華街も活気がよみがえりつつある。この状況に照らせば、松井市長らの行動に問題はなく批判される理由もないように思える。

 ただ、市長や議員という立場ではそうもいかない。大阪府では現在、第6波の影響を最小限に抑えるため「同一テーブル4人以内」「2時間程度以内での飲食」等を府民に要請している。府民に要請している以上、松井市長らも疑問を抱かせるような行動を抑制すべきだった。

 松井市長は会見で反省のポーズを見せつつ、焼き鳥屋での集会は「反省会」だとし、「1テーブル4人というルールは守った」「店にいたのは3時間ほど。2時間程度の範囲」と反論している。府民からも「何が問題か。それほど目くじらを立てることなのか」との意見が多い。だが、全く問題なしとは言えないだろう。松井市長たちが日ごろ主張する「身を切る改革」という維新のスローガンと矛盾するからだ。

 維新の「身を切る改革」の意味は、議員定数の削減や古い政治の打破、行政改革などを進めるにあたり、政治家自らが議員報酬の削減などを率先模範し、「意識改革に目覚めた役人が政治家とともに一丸となって行政改革を進める」(日本維新の会HPより)というものだろう。要するに、自らを律することで他に手本を示すということではないのか。

 松井市長が釈明するように、府の要請に従い1テーブル4人を守ったとか、3時間は2時間程度だというのはささいなことでしかない。維新が自己犠牲と率先模範を党是とするならば、そもそもやるべきではなかった。「反省会」ならオンラインでも可能だったはずだ。

 前回のコラムでも書いたが、大学生たちは友人たちとの会合や飲食を控える我慢の連続である。彼ら学生たちに松井市長らの行動はどう映っただろう。今回の維新政治家の行動は、大人数で居酒屋でどんちゃん騒ぎしてもOKという誤ったメッセージを世間に伝えるものでしかなかった。

 (近畿大学総合社会学部教授)



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