金井啓子の伴走で伴奏

IR・カジノは大阪を救うか!?

2022年1月24日

住民投票で有権者の意思確認を

 私は2018年6月、本紙で『カジノ誘致の賛否は住民意思で 都構想の住民投票は延期に決定』というコラムを書いた。当時、いわゆる都構想をめぐる住民投票が先送りになる一方、大阪へのIR・カジノ誘致が現実味を帯びてきており、IR・カジノの是非も住民投票で決めるべきだと私は訴えた。

 さて、自民党大阪市議団がIR・カジノの是非を問う住民投票条例の制定に向けて動きだしたという18日付の毎日新聞の記事を読んだ。IR・カジノについては基本的に議会が決めることである。だが、IR・カジノ誘致を目指していた横浜市では2020年、市民が住民投票条例の制定を求めて立ち上がり署名運動を開始。規定の署名数の3倍以上を集めたが市議会はこれを否決。和歌山市でも昨年末、市民が署名運動を行い、約2万人の署名を集め議会に住民投票条例の制定を求めている。

 このように、この手の住民投票は市民から求めることが多い。大阪市のように特定の政党が同条例の制定を求めるケースはまれではないか。ただし、自民党大阪市議団はIR・カジノに反対しているわけではない。全国的に賛否が分かれる特異な政策だからこそ、市民の意見を聞いてから実施の有無を判断しようということのようだ。

 一方、「何でもかんでも住民投票で決めるのはよくない。民意の代弁者としての議会の否定だ」という意見もある。なるほどと思う。しかし、住民投票は地方自治法に定められた有権者の権利であり、中には住民投票で賛否を決めることがふさわしい政策もある。都構想がそうであり、IR・カジノもそうだろう。特に住民の生命や財産に関わり、財政面など自治体の将来を左右するような政策については住民が直接決めても良いのではないかと思う。

 ましてやIR・カジノでは、夢洲での土壌汚染対策などで当初の見込み以上の負担を大阪市は強いられている。市は「カジノ等の収益で府市には巨額の資金が入ってくる」と説明するが、それこそ捕らぬたぬきの皮算用ではないのか。もし事業が失敗すれば逆に大阪市は多大な損失を被るだろう。そうなると大阪市民にもさまざまな影響が出ないとも限らない。

 大阪でのIR・カジノは既定路線のような印象を受ける。だが、ここは一歩立ち止まり、市民が冷静に判断する機会を設けることも決して無駄ではない。

 (近畿大学総合社会学部教授)



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