金井啓子の伴走で伴奏

市長選期日前投票の「怪」

2022年4月12日

場所で異なる投票日時の不思議

 私が住む豊中市では今月17日に市長選が行われる。私は所用で大阪を離れるため、期日前投票を行う予定だ。

 期日前投票の会場は7カ所ある。このコラムでは字数制限もあるので便宜上アルファベットで書く。AとBとCは11日〜16日8時30分〜20時、DとEとFは14日〜16日8時30分〜20時、Gは大阪大学で12日と13日の正午〜19時に期日前投票を行える。

 要するに7カ所のいずれかで期日前投票をやろうとすると、日時がバラバラなのだ。なんともわかりにくく、事情を知りたくて豊中市選挙管理委員会に電話してみた。

 担当者によると、AとBとCは期日前投票の制度が始まって以来ずっと設営されており、期日前投票の期間として定められた時間帯はずっと投票できる。選挙権年齢の引き下げをきっかけに始まったGでの期日前投票は、若年層の投票率引き上げも目指しているそうだが、学生を主な対象としていることもあって、2日間の午後のみという時間帯に絞っている。

 一方、DとEとFでの期日前投票は、昨年10月の衆院選が初めてだったのだという。2017年10月の衆院選の投票日には台風が近づくとの予報を耳にした人々が、期日前投票のためにA、B、Cに押し寄せ、建物の外まで人が並ぶ騒ぎになった。投票日に台風が再来する確率は高いとは言えないが、その出来事を受けて場所を増やす準備を進め、昨年の衆院選で初めて7カ所での期日前投票が可能となった。

 それでは、なぜ日時がバラバラなのか。せめてG以外の6カ所では同じ日時で行えばいいのに、と選管の人に尋ねると、経費の問題だと聞かされた。選挙の経費は1自治体あたり「8千万から1億円はかかる。もっとかかることも」とのこと。期日前投票の場所や時間帯を拡充すれば、それだけ人件費もかかるため、簡単には広げられないらしい。投票日に近づけば近づくほど期日前投票の場が混みあった経験を考慮に入れ、DとEとFでは最後の3日間だけとしているそうだ。

 今後拡充する可能性はないのかと尋ねると、「検討はするが、現時点では(拡充の)予定はない」とのこと。

 課題を抱えているのは豊中市だけではなく、おそらく各地似たり寄ったりではないか。より多くの人々が選挙に参加することは生活に密接に結びついた事柄なのに、なんとも歯がゆいばかりである。

 (近畿大学総合社会学部教授)



サイト内検索