ゴールデンウイークが終わった。10連休となった人もいたそうだが、いずれにせよ連休明けの月曜日をため息まじりに迎えた人も多かっただろう。
コロナ禍のために行動制限のあるゴールデンウイークが2年続き、今年は3年ぶりに自由に動き回れることになった。テレビでは全国の観光地が混みあう様子が映し出されていたし、友人たちが列車や車で観光地へ遠出をしたり、おいしそうな食事をレストランで楽しそうに食べている写真がSNSに載せられていた。「これが本来の休日の姿だったのだなぁ」と思いつつ、いかに我慢を強いられていたかをあらためて思い知ったりもした。
だが、その一方で「コロナ前に戻れる日は本当に来るのだろうか」という声が、私の心の中にひそんでいることにも気づいている。緊急事態宣言もまん延防止等重点措置も今は発出されていない。でも、国内の新規感染者数は毎日のように5桁となっている。死者数も一時に比べればかなり減ったが、毎日のように誰かが亡くなる状態は続いている。私の周囲でも感染者や濃厚接触者になった人を頻繁に耳にする。エンタメ業界では、つい最近も関係者が感染して公演が中止になることがあった。
連休中は私自身も遠出をしたし、何回か会食もした。だが、遠出の予定をひとつ削った。「混雑してたくさんの人がいる中に長時間とどまらざるを得なくなったらどうしよう」「マスクをはずして大声で話している人がいても注意しづらくてイライラするのではないか」「私が感染したら高齢者施設にいる母に会えなくなる」などと考え始めてモヤモヤしている自分自身を見て、それならばその予定をとりやめた方が精神衛生上いいという結論に達した。
2年前の今頃はあまり混んでいない電車に乗ることすらおっかなびっくりだったことを思い起こすと、現在のこの状況にも随分慣れたものだとは思う。それでも、完全に「コロナ前に戻れる日」はもう来ないような気がしている。
「ウィズコロナ」という言葉がある。感染者がゼロにはならず、時には死ぬ人も出る。それに慣れていくということなのだろう。私も慣れて、周囲を気にせずにやりたいことをやって、行きたい所に行けるようになるのだろうか。世界中で疫病が大流行するというのはこういうことなのか。あらためて未曽有の出来事の真っただ中にいることを実感する。
(近畿大学総合社会学部教授)
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