次代の力育む中学教育 中高一貫校の現場から

 少子高齢化やグローバル化が進み、予測困難な時代に対応できる力が求められる中、教育の在り方が問われ、中高一貫校への注目度が高まっている。その入り口となる中学では、どのような教育手法が展開されているのか。現場の実践を追う。

咲くやこの花中学校

2020年9月24日

関心に基づき学び深化

プログラミングでドローンを思い通り動かそうと挑戦する生徒ら
マナー向上のポスター制作で意見交換する生徒ら

 大阪府内初の併設型公立中高一貫校、市立咲くやこの花中学は、ものづくりやスポーツなど4分野それぞれで志願者を募集する入試を展開し、生徒が自身の関心に基づいて学びを深められる仕組みを運営している。授業だけでなく、部活動も組み合わせて環境を整備。課題を解決していくための手順や姿勢の習得を促し、将来に備えさせている。

 「全然(高度が)上がらん」「勝手に飛んだで」−。

 四つの分野のうち、ものづくりの1、2年合同授業では今月10日、プログラミングで小型無人機ドローンを思い通り動かすため、生徒たちが5人程度のグループに分かれて試行錯誤を重ねた。

 立体的な動きが求められる分、難易度が高い。論理的思考に加え、入力は英語のため、教科を横断した力も必要だ。失敗しては、周りと意見交換をしながら再挑戦。目標の動きを達成したグループからは歓声が上がった。

 授業を通して、中2の久吉聖真さん(13)は「何が問題かを予想して解決策を考えるのは、問題解決能力の向上に役立つ」と意義を捉え、中2の中山桃々子さん(13)は「最初はうまくいかなくても、周りのみんなと協力してやっていくのが大事」と実感していた。

■とことん没頭

 咲くやこの花中学は、「ものづくり(理工)」「スポーツ」「言語」「芸術(美術・デザイン)」の4分野それぞれで20人ずつ生徒を募集。早くから興味や関心が現れやすい分野の才能を伸ばすのが狙いだ。

 各分野10人ずつ計40人で1学級をつくり、1学年は2クラス。得意分野が違う生徒を交ぜるのは、多様性がある中で、お互いに尊重し合う集団づくりを促すためだ。普段は一緒に授業を受けるが、木曜の5、6時限目は分野別に生徒が集まり、中高の教員が合同で専門性の高い授業を繰り広げる。

 生徒は、各分野に設けられた部活動に必ず入部するのも特徴。ものづくりには科学部と数学研究部、スポーツには体操競技部と陸上競技部といった形で用意され、授業時間から放課後まで連続的に探究活動に取り組める。

 角芳美校長は「やりたいことにとことん没頭できる環境を整えてきた」と力を込める。

■夢を咲かせる

 芸術では、JR西日本の西九条駅と連携し、マナー向上を呼び掛けるポスターを作るのが、1年生向けの恒例課題。言語では、日本の英語教育で課題とされる「聞く、話す」の技能向上の機会も日常的に取り入れ、スポーツでは、体操競技をシドニー五輪日本代表だった教員が指導する。

 分野別の授業では、関心があるからこそ夢中になり、休み時間を忘れて没頭する生徒の姿も見られる。

 一方で、基礎学力の定着も重視。近年、咲くやこの花高校の国公立大進学者数は20〜30人台で推移。このうちおおむね9割が中学からの内部進学者という。

 「一人一人の夢を咲かせる学校になる」との思いで名付けられた「咲くやこの花」の校名。角校長は「10年後、20年後の将来像をしっかりと考えられる人になってほしい。それが時代の変化に対応できる力になる」とエールを送っている。

■校 長 角芳美
■創 立 2008年4月
■住 所 大阪市此花区西九条6の1の44
■生徒数 242人


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