来阪catch

人権迫害の中国を問う

ドキュメンタリー映画 「馬三家からの手紙」
監督 レオン・リー
2020年5月16日

生撮影の記録残して

「孫毅さんは亡くなったが、その強いメッセージは残っている」と話すレオン・リー監督=大阪市内
(C)2018 Flying Cloud Productions,Inc.

 中国の強制労働施設「馬三家(マサンジャ)労働教養所」に拘束された一市民が、拷問など過酷な弾圧を受けた実態を扱ったドキュメンタリー映画「馬三家からの手紙」(グループ現代配給)が近日公開される。「本人が生撮影した記録で、人権迫害の中国を問うている」とカナダのレオン・リー監督(39)は訴える。

 北京に住むエンジニアの孫毅(スンイ)さんが中国当局に拘束されたのは2008年。理由は1999年から共産党政権により禁止された法輪功(気功修練法)に関わっていたことだが、裁判なしの政治犯として馬三家労働教養所に送り込まれた。そこで孫毅さんが受けた拷問などの強制労働は過酷で、それを訴えたSOSの手紙がアメリカ人の主婦に偶然届いて実態が明るみに出た。

 「孫毅さんは収監中の作業で作った中国製のハロウィーンの飾り箱の裏に手紙をしのばせた。それが12年に8千キロ以上の旅をして米オレゴン州の主婦、ジュリー・キースさんに届いた。それが米メディアを通じて世界に伝わり、中国は労働教養制度を一度中止。彼は釈放されるものの、当局から監査され、その戦いは続くことになる。映画化の話はその後、直接、孫毅さんから依頼された」

 リー監督は中国の違法臓器売買を扱ったドキュメンタリー映画「人狩り」(14年)などで知られる。「当局の監視を逃れ、われわれは会うことができず、すべて孫毅さんにアイフォーンを使って撮ってもらい、極秘裏に送ってもらった。もちろん、スカイプで連絡をとり、カメラ技術を含めた撮影法を彼に教えた。当局に知れると元も子もないので極秘裏に連絡を取り合った。暗号を使った連絡で、冷や冷やでスリリングだった」

 映画には孫毅さんだけでなく、妻の付寧(フニン)さんやアメリカのキースさんらが登場する。「結局、彼は妻と離婚してインドネシアに亡命。そこで妻と再会し、キースさんと初めて会う。孫毅さんはキースさんに花束を用意し、彼女は感激の対面で涙を流していた」。翌年の17年、孫毅さんは中国公安関係者と接触の後、謎の死を遂げた。現地の病院は急性腎不全による自然死と発表。51歳の若さだった。「彼が得意のイラストを交えて訴えた馬三家の拷問、強制労働の事実は消えない」

 テレビ版(48分)はNHKBSでアンコールも含めて6回放送された。映画版(76分)は今回初上映になる。



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