岡力の「のぞき見雑記帳」

粉モン居酒屋「まぼや」

2020年11月23日

此花に伝わる伝統の味「豆天」を継承

うどんをトッピングするとボリューム満点

 昨年、講談の劇場「此花千鳥亭」がオープンし新たな風情が漂う此花区梅香かいわい。この地で独自の食文化を継承し守る居酒屋経営者がいる。

 同地区出身の宮下昌久さんは、美術大学卒業後に木工作家として修行を積み、2002年に故郷でアトリエを構えた。創作活動を介して地元のクリエーターや飲食店関係者とコミュニティーを築くようになりさまざまな催事を実施。数年前から元はタバコ屋だった場所に開設したシェアショップ「モトタバコヤ」で定期的に熊本料理やネギ焼きのお店を展開し評判を呼んだ。そして昨年7月に念願の粉モン居酒屋「まぼや」を開業した。

 この地で愛され続けるソウルフードにグリーンピースの天ぷら、通称「豆天」入りお好み焼きがある。老舗の天ぷら店が考案し地域の飲食店へ営業したのが発祥と言われている。天ぷら店がなくなった後もそれぞれのお店が仕入れを変えながらメニューとして提供。中でも語り継がれるお店に「森」がある。

 「ヨッシャーまかしとき」を合言葉に50年以上の歴史を誇っていたが、2年前に惜しまれつつ閉店した。うまみ、食感、風味の三拍子そろった「銀河系一おいしいお好み焼き」と言われ、土曜のお昼になると近隣の子どもたちが給食代わりに列をなした。

 「まぼや」では森のご主人直伝の「豆天入りお好み焼」を開店時からメニューに掲げ、1周年を機にトッピング(ブタ、イカ、エビ、チーズ、うどん、そば)も再現した。低価格にこだわり豆天は店内で独自に揚げている。森の常連客もうわさを聞いて来店するようになり、定番のネギ焼きとともに高評価を得ている。「豆天は、グリーンピースの彩りと油の甘みが増すと言われています。正直、他の具材もおいしいとは思いますが、僕はこの文化を守りたいと思っています」と語る宮下さん。USJのお膝元、A面の大阪を満喫した後はB面スポットとして寄り道してほしいお店である。(コラムニスト)

 ■粉モン居酒屋「まぼや」
 大阪市此花区梅香1丁目7の11、営業時間午後6時〜午前0時(ラストオーダー午後11時半)、月曜定休。電話06(7222)1514。


サイト内検索