新温泉町の浜坂先人記念館・以命亭で、太田伸吾さん(68)=豊岡市=の写真展「日本海の鼓動~潮瀑~」が開かれている。ある晴れた秋の午後、引き寄せられるように撮影したという豊岡市竹野町から新温泉町にかけての日本海の「波」のアップ写真を約30点展示。生き物のように激しく躍る波の「表情」が、来場者を魅了している。26日まで。
太田さんは同町浜坂の出身。日本海は見慣れていたが、7年ほど前、運転中に出合った光景はいつもと違って見えた。晴れているのに海上は荒れていて、ごう音が聞こえたという。
「波が芸をしている。こいつはすごい」と車を降り、一眼レフのデジタルカメラとスマートフォンで、移動しながら夢中でシャッターを切り続けた。
午後3時ごろから日没までの約3時間、時には波をかぶりながら撮影した写真は3千枚ほど。荒々しくしぶきを上げながらも、にごりのない青や緑色を帯びた海水が、時間の経過とともに黄金色に染まっていく様子が克明に写し出されている。
光の加減でモノクロームに見えるものや、マグマが噴出するようにボコボコと泡立ち躍るエネルギーに満ちた1枚も。
太田さんは1975年に日本広告写真家協会賞を受賞。但馬の情報誌「T2」の出版を手がけ、現在はNPO法人日本観光ネットワークの理事長などを務める。展示について「なにげなく見ている波が、見方によってはこう見える。『ものを見る』ことを意識してきたから遭遇することができた」と話している。
会場 | 浜坂先人記念館・以命亭 |
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