歩く

 人は言った。「歩くことは生きる喜び」。歩くことでさまざまな地域の魅力を肌で感じ、吹き抜ける風には季節の移ろいも実感することができるウオーキング。健康志向の高まりに無関心を決め込んできたアラフォー記者が、関西のあちらこちらを訪ねて生きる力を取り戻す。

奈良公園一帯を歩く

2018年11月15日

春日大社から 聖武天皇ゆかりの地へ

若草山を横目に足取り軽く歩く参加者の皆さん
朱色が美しい春日大社の南門

 奈良市の奈良公園一帯は歴史のある神社仏閣が多く、国内外の観光客の人気スポット。緑の芝が美しい若草山を横目に、あちらこちらの鹿(しか)にあいさつしながら歩くのも楽しい。大阪府レクリエーション協会のウオーキングイベント「歩育」に参加して、聖武天皇にゆかりのある地を訪ねた。

 秋晴れの朝を迎えたJR奈良駅で、リーダーの竹岡敏亘さん(75)が「安全第一に行きましょう」とあいさつ。本来は若草山から春日山遊歩道を歩く予定だったが、9月の台風による倒木の影響で急きょコースを変更した。「平たんになった」代替コースは、日頃運動不足の記者にはありがたい限り。

■にぎわう東大寺

 公園に近づくと、子どもが「鹿おった」と声を弾ませた。作家・森鴎外が奈良滞在中に使った宿舎の跡に残る門の近くでも、鹿さんたちが休憩中。竹岡さんの解説に首を縦に振るおなじみのおねだりポーズで、「うんうん」とほほ笑ましい。

 春日大社に参拝した後、若草山を右手に進路を北へ。この日一つ目の聖武天皇ゆかりの地は東大寺二月堂。現存する建物は「1669年の再建」で2005年には国宝に指定されている。舞台からは市内を一望できる。

 同寺は奈良時代に聖武天皇が建立し、「奈良の大仏」として知られる本尊の「盧舎那仏(るしゃなぶつ)」も国宝に指定されている。昼食休憩を利用して東大寺大仏殿(有料)に入り、「高さ約14・7メートル、基壇の周囲70メートル」の迫力を体感。大勢の外国人観光客らと肩を並べ、手を合わせた。

■季節を感じて

 大仏殿周辺は人が集中しているが、少し離れれば静かになり歩きやすい。転害門を出てたどり着いた聖武天皇陵は、ひっそりとしていた。落ち着いた雰囲気の中で仏教を深く信じた天皇に思いをはせ、冷たくなってきた風に秋の深まりを感じた。

 歩育参加歴5年以上という角恵子さん(62)=池田市=は「分かりやすく説明してもらえるし、こうして外に出て季節を感じることができるのはありがたい」と話していた。

 ◆コース JR奈良駅−里程元標−鴎外の門−春日大社−二月堂−東大寺−正倉院−転害門−聖武天皇陵−奈良女子大−近鉄奈良駅(約9キロ)