大阪発 羅針盤

 地域の取り組みや課題、人々の動きや思いを通して大阪の明日、日本の未来を展望します。

安全なまち、オール大阪で

2016年5月13日

全刑法犯3割減 住吉区に続け

 大阪府警は今年1〜3月の街頭犯罪の発生件数(暫定値)を公表した。ひったくりや自動車盗など7種類の街頭犯罪の認知件数は前年同期に比べ8.1%減少している。全刑法犯も10.1%の減。一方、大阪の街頭犯罪は16年連続全国ワースト中。「オール大阪」での抑止活動のさらなる強化が求められる。

 「5日午前1時40分ごろ、阿倍野区天王寺町南1丁目3番付近路上で、自転車で通行中の男性が、原付に乗った男に財布をひったくられる事件が発生。男は若い感じ…」

 大阪府警によるツイッターでの防犯情報だ。フォローしている人に随時、送られる。

 府の昨年1年間のひったくり認知件数は877件で、前年比で417件減少している。しかし、全国ワーストには変わりはない。

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 街頭犯罪には▽ひったくり▽路上強盗▽自動車盗▽車上ねらい▽部品ねらい▽オートバイ盗▽自転車盗−の7種類がある。

 府内の昨年の街頭犯罪は6万3096件で過去最少を記録したものの、16年連続全国ワースト。ただし、ピークの2001年に比べ、約6割減少している。

 02年に警察や行政、事業者などで構成する「大阪府安全なまちづくり推進会議」(会長・松井一郎知事)が設立され活動が続くが、減少はこの「オール大阪」での取り組みの成果とも言えよう。

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 大阪市内はどうか。

1〜3月の街頭犯罪は前年同期と比べ、ひったくり、路上強盗、自動車盗、オートバイ盗が減少。車上ねらい、部品ねらい、自転車盗が増えている。

 街頭犯罪を含む全刑法犯は1万2725件で前年比1038件の減。増減率はマイナス7・5%だった。

 24区別で見ると、住吉区がマイナス29・6%、西成区が同21・6%、港区同20・6%など。一方、プラスとなったのは東成区8・0%、天王寺区6・5%、生野区4・8%など=表参照。

 住吉区の吉田康人区長は、減少率が市内1位となったことについて「共助の要素を防犯施策に入れている」と強調する。同区は13年度に市内で初めて防犯カメラを公設置した。設置費のほか、維持管理費も行政が担う。半面、設置場所は地域の話し合いの中で決めるようにした。

 区民の意識調査でも防犯カメラ設置を求める声が多く、犯人逮捕につながった例もある。現在、同区には公設置・補助設置合わせて488台の防犯カメラがあるが、本年度も新たに12台を公設置する方針だ。

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 府警もスーパー防犯灯と呼ばれる「街頭緊急通報システム」を設置するなどの対策を進めてきた。犯罪発生情報などを知らせる「安(あん)まちメール」も啓発につながっている。

 街頭犯罪も、今年からは性犯罪も含めた「大阪重点犯罪」として、地域の実情に即した犯罪抑止総合対策を進めている。

 半面、府民は認知件数の減少に相応し治安が向上したとの実感は乏しいのではないか。日常の中で、著しく不安を感じる犯罪が発生していることが要因とみられる。

 吉田区長は「防犯の部署が防犯の観点から取り組むのは限界がある。子ども見守り活動も『一体』のもの。まちづくり全体の観点から住環境を良くすることも必要」と地域連携の重要性を指摘する。

 「安全なまち大阪」の実現には、地道な活動が欠かせない。