大阪発 羅針盤

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生乳の指定団体制度の是非 参院選でも論戦を

2016年7月5日

創意阻害か市場安定か

指定団体制度を説明する中央酪農会議の関係者=6月29日、大阪市内

 国連が定めた世界牛乳の日(6月1日)にちなみ、酪農家に代わって生乳を販売する指定生乳生産者団体(指定団体)などでつくる「中央酪農会議」が6月末、大消費地の大阪市内で記者説明会を開いた。指定団体制度の是非を俎上(そじょう)に載せた政府の「規制改革会議」に対する疑義の表明が説明会の狙いだった。乳牛を飼育する牧場にあまり縁のない大阪だが、消費者目線で見た場合、日本の酪農政策の行方を左右する議論は注目に値する。

 指定団体制度は、北海道のホクレン農業協同組合連合会など全国10の指定団体を通じて乳製品向けの生乳を出荷した酪農家に「補給金」を給付する仕組みだ。指定団体はもともと1966年4月の関連法施行を機に設立された経緯があり、ちょうど半世紀たつ。

今年秋までに

 この補給金の交付対象の在り方を含む抜本的改革の検討が、規制改革会議による5月19日の答申に盛り込まれた。「酪農家の経営マインド養成、生産・流通の柔軟化を通じた付加価値の向上」が念頭にあり、指定団体制度を「過剰に事業者の創意工夫を阻害している可能性がある」と捉えたと言える。

 これに対し、中央酪農会議の記者説明会に出席した東京大大学院の矢坂雅充准教授は「制度をスケープゴートとして改革を断行しても生乳市場の混乱を招くだけ」と指摘。指定団体には効率的な輸送ルート設定や機動的な需給調整の役割もあり、同席した奈良県の酪農家は「生産者が安心して乳搾りに専念できる制度だ」と訴えた。

 指定団体制度は創意工夫の阻害要因か、市場安定の仕組みか−。制度是非論の焦点はそこに至りそうだが、もう一つ注目すべき点がある。規制改革会議が結論を出す時期を「今年秋」までとしたことだ。

■基幹的産業

 指定団体制度の是非を巡っては当初「廃止」論が浮上したが、自民党議員らの反対で沈静化した経緯がある。この点について、矢坂氏は「(規制改革会議の結論が)参院選が終わってからになった」と指摘する。つまり、結論を早々に出せば今月10日投開票の参院選に影響するため、秋にずれたという見立てだ。

 中央酪農会議が示したデータによると、2014年度農業産出額のトップシェアは畜産であり、畜産産出額の4分の1は生乳が占めた。

 日本農業の基幹的産業である酪農の政策についても参院選の候補者、政党は論じ合うべきだろう。政策の行方は消費者にとっても無縁ではない。