大阪発 羅針盤

 地域の取り組みや課題、人々の動きや思いを通して大阪の明日、日本の未来を展望します。

大阪の“健都”に国立健康・栄養研究所

2016年7月24日

オール大阪の視点で 成長戦略に生かせ

 政府が3月に決定した国機関の地方移転に関する基本方針を受け、関西広域連合は21日に関西経済連合会と意見交換し、文化庁の京都移転を観光や産業振興に生かす共同宣言を発表した。今後、京都府は地方創生のモデルになる。片や、大阪府は中小企業庁と特許庁の移転を逃し、明暗を分けた格好だ。とはいえ、大阪には「国立健康・栄養研究所」の移転方針が示されており、この移転を大阪の地方創生に生かさない手はない。

 国立健康・栄養研究所は国民の健康保持と増進に関する調査研究機関で、東京都新宿区に位置する。その移転先として、大阪府が想定するエリアは吹田、摂津両市にまたがる「北大阪健康医療都市(健都(けんと))」だ。

■医療クラスター

 「健都」を巡っては、2018年度をめどに国立循環器病研究センターと吹田市民病院が移転する。府税を軽減する成長特区の第1号に指定され、医療関連の企業、研究機関の誘致も進める構想がある。

 府が19日に開いた健都セミナーで、津組修商工労働部長は「医療クラスター(複合医療産業拠点)として成長させる」と説明。吹田市の米丸聡特命統括監は、国立健康・栄養研究所との共同事業を模索する意向を示した。

 府内にはもともと大阪大、大阪大医学部付属病院、理化学研究所生命システム研究センターなど主要な医療研究機関が立地し、大阪市中央区道修町は「日本の医薬品産業発祥の地」と呼ばれる。北区のグランフロント大阪に創薬支援機関が開設する新たな動きもある。

 国立健康・栄養研究所の移転は、中央省庁の移転に比べて小粒な感があるものの、大阪の健康医療環境に厚みを持たせることは間違いない。

■「言わなければ」

 関西圏域への省庁移転について、政府は京都への文化庁を決定したほか、和歌山への総務省統計局と徳島への消費者庁も検証の対象にする一方、大阪への中小企業庁と特許庁、兵庫への観光庁は見送った。この結果に対し、堺市の竹山修身市長は21日の意見交換の席上で自戒の念を口にしていた。

 「『大阪で取ってくる』としっかり言わなければいけない」。文化庁移転に向けた自治体と経済界、宗教界、文化芸術関係者のオール京都による要望活動を引き合いに出した大阪への苦言でもあった。

 「古都」の京都が文化庁移転で結束したように、まずはオール大阪の視点で「健都」をもり立てるべきだろう。国立健康・栄養研究所移転は、大阪の成長戦略にも通じる。