大阪発 羅針盤

 地域の取り組みや課題、人々の動きや思いを通して大阪の明日、日本の未来を展望します。

ロボット社会を展望 人間との融合いかに

2017年4月17日

未来の働き方提示 関西同友会

マッスルの介護ロボット「SASUKE」=大阪市中央区
パナソニックが開発した「HOSPI」=大阪府門真市

 関西経済同友会は、技術革新が進む人工知能(AI)・ロボットを活用して生産性を高めた企業が勝ち残れるとの提言を発表した。グローバル競争の激化に対応する未来の働き方を示したものだ。AI・ロボットの活用は国の成長戦略の柱でもあるが、雇用環境に組み込むためには人間との融合は欠かせない。ロボット社会の到来を展望した。

■教育改革

 被介護者をベッドから車椅子に乗せ替える介護ロボット「SASUKE」を開発したマッスル(大阪市中央区)は2013年6月、安倍晋三首相の視察先になった。成長戦略の分野として白羽の矢が立った格好だが、当時の介護施設の反応は「黒船」(玉井博文社長)扱いだった。福祉機器展に出品しても「自分たちの仕事が無くなる」と受け止められていた。

 そのSASUKEは現在、全国の介護施設に普及しつつある。介護者に代わって力仕事を担うため、介護者は被介護者の表情に集中できる点が理解され始めたためだ。ロボット実用化の鍵は「人間の良い点、ロボットの良い点をうまく融合させる」ことにあると玉井社長は考えている。

 その人間の優位性は高度なコミュニケーション力にあるという有識者の見解を踏まえ、同友会は12日に発表した提言を通してコミュニケーションや判断力、創造性という「社会技能」に比重を置いた教育制度の改革を訴えた。つまり、AIが得意とする記憶や計算に注力した教育を見直すよう求めたものだ。

■安心安全

 一方、ロボットの品質を高める試みも続いている。パナソニック生産技術本部(門真市)は介護ロボットの離床アシストベッド「リショーネ」の商品化に際して国際安全規格の認証を取得した。ロボット戦略担当の本間義康主幹は「ロボットを仲間として見られるようにするためには安全性の担保が必要」と話す。人間との融合には安全性に加えて「安心感」も欠かせないという。

 病院内で薬剤を搬送する自律移動ロボットとして商品化した「HOSPI」の外観はタッチパネルに目、口を施した笑顔が特徴だ。本間主幹は「ロボットを見た時に安心と思える動きを実現しなければいけない」と心掛けている。同社が安心安全を追求する姿勢は、開発メーカーがしのぎを削っている表れでもある。

 「ロボット社会はすぐそこに来ている」−。ロボット研究で知られる大阪大の石黒浩教授は8日の講演でこう語った。到来するロボット社会に対応する働き方には、ロボットを迎え入れる側の意識改革と、ロボットを開発する側の技術力向上が必須だろう。