にちにち動物百科

 動物園はワンダーランド。ライオン、キリン、チンパンジー…。大阪市天王寺区にある天王寺動物園は、都会の真ん中でありながら、非日常の世界が広がります。のんびりさんだったり、怒りんぼうだったり。私たちがそうであるように、動物たちも見ているだけでは分からない愛くるしい一面があります。飼育員だから知っている動物たちの性格や食事、クスリと笑えるエピソードも交えて紹介します。

☆4 ホッキョクグマ

2018年7月12日

無邪気なかわいさと野性と

マイペースな園の人気者・イッちゃん
勢いよく水の中に飛び込むイッちゃん
泳ぐコイを捕まえるイッちゃん

 暑さが厳しい季節になりましたが、天王寺動物園(大阪市天王寺区)には寒い地域で暮らす動物も少なくありません。そんな炎天下の中で“ザッブーン”と水に飛び込み、無邪気に遊んでいるのがホッキョクグマの「イッちゃん」です。観察しているとかわいさと野性の部分が垣間見えます。

■実は「透明」なんです

 イッちゃんは、2013年12月生まれの4歳の雌です。立ち上がると身長約2・3メートル、体重は230キロぐらいあります。クマの仲間の中では一番大きな「ホッキョクグマ」で、よく「シロクマ」とも言われます。

 ホッキョクグマはもともと、寒い北極で生きています。地肌は黒く、白く見える毛も実は透明です。毛の中は空洞でストローのようになっていることから、空気がたまって断熱材のような役割もしています。そのため北極のような寒さでも平気なのです。ちなみにイッちゃんの部屋には、エアコンが設置してあります。

 首が長く、泳ぎに適した体です。北極では氷の割れ目から息をするために上がってきたアザラシを狩っていますが、イッちゃんも園で目を光らせて魚を捕らえ、むさぼる様子はさすが肉食動物を思わせます。

 ただ北極の氷が溶けてきており、ホッキョクグマは絶滅が心配されています。

■マイペース

 イッちゃんは、ロシアの動物園生まれで15年3月に来日。豚まんやアイスキャンデーで知られる「蓬莱(ほうらい)」(大阪市)が動物園に寄贈しました。

 「551」の1にちなんでイッちゃんと命名。ちなみに雄の「ゴーゴ」もおり、現在は和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドに貸し出し中です。園ではいつかゴーゴとイッちゃんとの間に赤ちゃんが産まれ、立派に育ててほしいとの思いもあるそうです。

 イッちゃんはマイペースで、おっとりした性格のようです。食事は牛肉や鶏肉をそれぞれ2キロのほか、パンの耳、野菜や果物など、1日約10キロ食べています。鶏肉とトレーニングに用いる肝油が大好物です。

■エンリッチメント

 園の限られた環境では、動物も暇や時間を持て余すことがあります。イッちゃんも「常同(じょうどう)行動」という同じ所をぐるぐる回ったり、行ったり来たりする異常な行動をすることがあります。

 常同行動を減らすため、「エンリッチメント」という暮らしを豊かにする工夫をしています。退屈な時間を減らし、本来持つ感覚を生かす取り組みです。

 具体的にはおやつをあげる際、筒の中に食べ物を隠して探してもらったり、おもちゃを与えたりなど、さまざまです。

 その様子はほほ笑ましいです。水の中で先端に穴を開けた三角コーンや、かごを頭にかぶってブイでじゃれたり、おもちゃを取り上げられないように隠すなど、なかなかの賢さです。

      ◇   ◇

 天王寺動物園では22日午前10時、二十四節気の大暑にちなみ、好物のリンゴやキウイフルーツなどの果物入りの氷柱を、イッちゃんにプレゼントします。

【ホッキョクグマ】
食肉目クマ科。北極圏に住み、地上では最も大きな肉食動物。泳ぎが得意。


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