金井啓子の現代進行形

日本新聞協会の大学生大賞受賞

2018年4月12日

学生が新聞を見る目にも変化が

 6日付の本紙でも報じられていたが、私が近畿大学総合社会学部で担当する「ジャーナリズム論」の受講者に、日本新聞協会から「HAPPY NEWS大学生大賞(グループ)」が授与された。

 ジャーナリズムの基本を学ぶこの授業を私が担当し始めたのは8年前だった。当初は20人余りだった受講者数は、途中で私が別の学部に移ったこともあるが今では150人を超えた。最初に私が所属していたのは英語を中心に学ぶ学科だったが、いま私がいるのはメディアや社会学を学ぶ専攻である。だが、どちらの学生にも共通しているのは、ジャーナリズムに関する知識が少ないこと、報道の世界で働く人たちへの嫌悪感を持つ学生が多いことだった。

 確かに報道の仕事は不規則な長時間労働が当たり前になっているし、取材の手法が時に強引になったり報道の際の描写が辛辣(しんらつ)になり過ぎる面はある。だが、学生たちと話していると、あまり実態を知らないままイメージ先行で批判しているのではないかという疑問が湧いてきた。

 まず、自宅で新聞を定期購読している学生が少ない。ひとり暮らしの学生がそうであるのは想定内だったが、実家から通学する学生も同じなのだ。学生の親と言えば私と同世代の人たちが多い。その人たちも新聞を自宅に配達してもらわないのが「当たり前」になっていることに衝撃を受けた。親世代がそうであれば子どもがその影響を受けても仕方ない。

 ただ、紙で新聞を読まないのは時代のすう勢としてやむを得ない。実際、学生のほとんどが所持しているスマートフォンではニュースを読む時間は結構あるらしい。だが、そのニュースの中でも、誰がどの記事を書いているのかを意識することはあまりないようだ。つまり、一定のルールにのっとって書いている新聞社の記事も、言葉は悪いが“海の物とも山の物ともつかぬ人たち”が適当に書き飛ばしている記事もほぼ同列に読まれているらしいのだ。また、「新聞には難しくて暗い話ばかりが載っている」と思っている学生も多かった。

 そこで、まずは新聞の本当の姿を知ろうと始めたのがこの「HAPPY NEWSキャンペーン」への応募だった。「ハッピーなニュース」だと自分が感じる記事を見つけてエッセーを書いて応募した学生たちは、ジャーナリズムへの印象が少しずつ変わったようだ。批判をするにしてもまずは相手を知ってから。そういう大切なことを教えてくれるこのキャンペーンには感謝している。

 新たな受講者を迎えてまた授業が始まった。初回の授業でジャーナリズムについて知っていることや知りたいことを尋ねたところ、やはり今までと似たような結果が出た。このキャンペーンへの応募だけでなく、私のその他の授業の内容も通じて、1年後には少しでも変化してくれるよう願いつつ次の授業の準備を進めているところだ。

 (近畿大学総合社会学部教授)