金井啓子の現代進行形

週末にファクトチェックの催し

2018年4月19日

日米における実践を知る機会に

 米国の優れた報道に対して送られるピュリツァー賞が、今年も数日前に発表された。今回は、ハリウッドの大物プロデューサーのセクハラ疑惑を報道し、セクハラや男女不平等に抗議する「MeToo」運動が社会現象となるきっかけとなったニューヨーク・タイムズ紙とニューヨーカー誌が公益部門で受賞した。また、私の古巣であるロイターは、フィリピンの麻薬戦争についての報道で国際報道賞を、そしてミャンマーを逃れるロヒンギャ族の写真で特集写真賞を授与された。退社して10年もたったが、元同僚たちの活躍はいつもわが事のように誇らしい。

 さて、2008年にバラク・オバマ氏が黒人初の米国大統領となった選挙に関する報道でピュリツァー賞を取った団体で働く人物を招いたイベントが、今週末の21日に大阪で、22日には東京で開催される。

 アーロン・シャロックマン氏は、米フロリダ州にあるポリティファクトという団体の事務局長をしている。ポリティファクトはファクトチェックを行う団体である。

 日本でファクトチェックの活動を推進するために昨年立ち上げられたNPO法人ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)の理事を私が務めていることもあって、ファクトチェックについては、これまでにもこのコラムで書いてきた。

 ただし、ファクトチェックという言葉よりも、フェイクニュースという言葉の方がいまやすっかり定着してしまった。フェイクニュースとは、権力者による「レッテル貼り」もあれば、いたずらやアクセス数を稼ぐための「明らかなウソのニュース」もある。また、自らの主張や思い込みにより、根拠の希薄なデータや事象といったうわさに過ぎない情報を拡散するケースもある。こうしたフェイクニュースの悪影響を減らす一助となりうるのが、情報や言説の信ぴょう性を確認するファクトチェックである。

 FIJが主催するこのイベントは、大阪でも東京でも参加無料。21日の土曜日に梅田の大阪イノベーションハブ(グランフロント大阪ナレッジキャピタルタワー7階)で行われるセミナーでは、シャロックマン氏による基調講演のほかに、日本でファクトチェック活動を実践した経験について、NHK在籍時にパナマ文書の取材にも関わった立岩陽一郎氏(現在は「ニュースのタネ」編集長)や、日本報道検証機構代表の楊井人文氏の話を聞くことができる。また、翌22日に東京の早稲田大学で行われるシンポジウムには、シャロックマン氏が再登壇するほか、BuzzFeed Japanの古田大輔編集長や朝日新聞の林尚行大阪社会部次長、エッセイストの小島慶子氏、白鴎大学客員教授の下村健一氏を含め、多彩な人々が登場する予定である。

 興味を持った方は、FIJのホームページ(http://fij.info/)上で申し込んでおいたほうが確実に入場できるので、お早めの予約を。 (近畿大学総合社会学部教授)